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慣れないロング丈のコートは、ダウンジャケットに引けを取らない温もりで尚且つ肌触りの良い生地感。流石啓介さんに目利きされた品だ。
首辺りが詰まっているハイネックのニットは少々苦しいが、これもまた厳しい寒さにはうってつけの温かさだった。
「…すっげぇ浮かれてるみてぇだ」
慣れない服。知らない店。
先ほどからちらほら前を横切る通行人は、妄想が加味されているのかどことなく裕福そうにさえ見えてしまう。
壁にもたれ、視界の端にちらつくロングコートに今一度眉を顰める。
久しぶりに昼食を提案してくれた啓介さんから、Aさんが会う度にデートが楽しみで浮かれていると可愛らしい話を聞いているまではよかったのだが。
「藤原お前……まさかあそこに普段の恰好で行くとか言いださねぇよな」
「流石にもう少しマシなものをとは思ってますけど…」
目が合い無言の数十秒。
暫く悩んだ啓介さんはありとあらゆるブティックへと連れまわしてくれ、着せ替え人形の気分を味わう事となった。
数日たとうが小洒落たコーディネートの羞恥にはなれず、挙句、反応を困らせたらと不安にさえ思っていた丁度その時。
「たｯｯ…拓海、くん…？」
軽やかで甘く、耳馴染みの良い声が普段より幾ばくか揺れて響く。
顔を上げた刹那、今ほどまでの心配なんてそっちのけで着飾った彼女の美しさに見惚れてしまった。
緩く巻かれた髪に、華やかさを添えるカシミヤのマフラー。
グレーのそれが差し色で映えるブラックのコートの襟と袖部分にはファーがあしらわれ、上品さの中に可愛らしさがプラスされた冬の夜の彼女はあまりにも、綺麗だった。
「Aさん」
「かｯｯ……」
「か？？」
はたと我に返り、仕事のねぎらいを告げる前に彼女は言いかけてすぐ両手で顔を覆い俯く。
思わずもたれていた壁の助けを捨て向かい合うと、恐る恐る見上げてくるAさんの頬は寒さ故か淡く色づいていた。
丸っこく潤いを持つ瞳で伺う様に見上げられれば可愛らしさでひとたまりもない。
「Aさん…？」
薄い唇が何かを訴えたそうに動いて、はくはくと白い空気を生み出す。
首を傾げた俺にきゅっと目を瞑り唇を内側に巻き込むから、分かりやすい表情に自身までも笑んでしまいそうだ。
また一歩、爪先同士が触れ合う距離に詰め服を掴んだAさんは、俯いていた顔を上げ俺を見つめた。
「っ、かっこいい…！大人っぽいのも似合うね、拓海くん…！」
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み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜！！ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (
レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい！！！！やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります！ (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
る - 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…！お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります！ (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2023年9月29日 15時
