Last Battle ページ26
今が一番、嬉しいかもしれない。
そう思える強さを隣で見てきた拓海くんが３本目は無いとまで言わしめる啓介くんは、少し羨ましく思えた。
バトルを重ねるに連れ育んだ結束や信頼は、仲間である私達さえも入っていけない美術品の如く研ぎ澄まされている。
そんな、唯一無二のライバルが届けた吉報に拓海くんはほんの一瞬だけ、張りつめていた糸を緩めた。
「…よかったですね」
「…うん」
続く自分のプレッシャーもあるだろうに、仲間の快報に息をついた私を気遣ってまでくれるから度量の大きさを知る。
サポート側にも関わらず次々迫りくる勝負の世界が緊張を色濃くし、表面張力で限界いっぱいに張りつめていた心は、啓介くんとのハイタッチで安息へ変わる。
ずっとずっと、傍にいて見守ってくれて、惜しむ事無く様々な事を教えてくれた啓介くん。
涼介さんの下で互いに試行錯誤しながら走りを追及してきて、そのスピードレンジが違っても私を一人の走り屋仲間として認めてくれていた。
色んな想い出に気持ちはごちゃ混ぜで、視界が歪んでしまう。
「っ、……よかった、」
絞り出した声も潤んで、奥歯を噛む私に眉を下げ笑んだ啓介くんは溢れた涙を指の背で拭ってくれる。
変わらない慈愛を受け、言葉たちを選り分けるのに暇がかかった。
「おめでとう。…啓介くん。」
「…ああ。」
私の頭を撫でた啓介くんが後ろ手に人混みを指し示し、快活に笑う。
「ちゃんと、藤原送ってこい」
「うん…！」
大きな手に背を押され、ハチロクへ向かう拓海くんに走り寄れば気づいて振り返ってくれた。
ふわり、柔らかなブラウンの髪が夜風に靡く。
「……待ってるよ。信じてる。」
「…はい」
「拓海くんなら、…拓海くんとハチロクなら、絶対勝てる。」
包み込んだ両手の温もりは、いつもと変わらない。薄くとも骨ばった、私を気遣い触れてくれる、優しい手。
強く見つめる私の視線を受け止めた拓海くんの瞳は鋭くて、射抜かれてしまいそうな真剣な眼差しは覇気がうつる。
初めて拓海くんの手を握ったのは、勢いに任せた夏の始まりだった。
あの時は少しずつ話せる関係になれたのが嬉しくて、それでも時折過小評価が遠慮に変わるのが悲しくて、どこか一線を引いてる貴方を引き込みたい一心だった。
でも、今は違う。
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み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜！！ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (
レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい！！！！やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります！ (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
る - 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…！お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります！ (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2023年9月29日 15時
