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「……ぇ、」
ぎしりと体が固まる感覚を覚え見下ろすと、耳まで赤く染め上げたAさんが目を伏せる。
「……泊っても、いいってことですか」
言葉選びも、感情がすぐ露になってしまう頬も、愛おしくてしょうがない。
再び座り、指先を絡める様に握ると小さく頷く。
「…拓海くんがいいなら、…一緒にいたい」
二の腕辺りに額を押し付け、たどたどしい声がなんとか選ぶ言葉を伝えようとする。
拍動の音はバクバクと強くなっていくばかりで余裕を奪い、次々浮かぶ理想と現実達が判断を鈍らせる。
「……離れたく、ない」
それでも彼女は、いっぱいいっぱいの声で羞恥を隠すように腕へすり寄る。
顔にかかる髪をはらって頬を包み、耳元をなぞると不安げに見つめてきた瞳がきゅっと閉じた。
「…やっぱ嫌だって言われても、帰りませんからね」
そっと顔を寄せると、緊張と期待の混ざる瞳が伏せられ鼻先が触れて、額同士が重なる。
「っ、……いいよ」
はちみつを煮詰めた様に甘く、か弱い声。
真っ赤に熟れた頬も、力が籠る薄い瞼も、懸命な姿は途端に幼さが溢れその理由が紛れもない自分自身という事実に鼓動が急いで、もう、止まれそうもない。
「っ、拓海く……んぅ、……ふ、…んむ…っ…!」
触れた唇が熱くて、柔くて、今ほど食べていたバニラアイスを思い出す。
単語にも満たない声が吐息と混ざり、どうすればよいか分からなさそうに、でももう一度を強請るみたく落とし込んだ唾液を受け止める舌先が応え、背に回る手には力が籠った。
「っ、ん……たくみく、……ぱぱに、…れん、らく…っ」
「……後でちゃんとします」
暫く夢中になってしまう程互いを求めあい、ようやく朧げに見上げた瞳が訴える。
「ん、〜〜…ッッ!?だ、だめ…おそく、なっちゃう、」
促すように触れてきた手を握り返し、濡れた唇を再び食む。
力の抜けた体を呆気なく押し倒されたAさんは続くキスにとろりと瞳が蕩けかけたが、すんでの所で胸板を押され中途半端にお預けをくらった。
心配するでしょ、と伝える声は吐息と絡みほぼ言えておらず、乱れた呼吸を整えようと小さく動く肩に心臓は先を性急に求めた。
「……。分かりました。」
こうなったAさんは何を言おうが頷いてくれない。彼女に跨ったまま上体を起こし携帯を取り出す。
数回の呼び出し音が変わったから、捲れたトップスの隙間から覗く肌を撫でると瞳が真ん丸に見開いた。
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み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜!!ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい!!!!やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります! (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
る - 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…!お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります! (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:み | 作成日時:2023年9月29日 15時