ニリンソウを振ってじゃれる ページ19
両手で掴んでいるファジーネーブルのグラスは、どうやら幾分か、俺のよりも大きく見える。
緩く笑うAさんは店を出てもしっかりした足取りで、デフォルトが砂糖菓子みたく甘く繊細な人だから嗜好品を多く嗜んでも普段と変わらない姿は意外に思った。
少しばかり期待した自分をたしなめ、いつもと変わらない緩やかな夜を想定していたから。
「……寂しかった。」
重心がぶれ始めた夜に、俺の心臓は飛び上がる事になるのだ。
・
帰宅して早々、リビングに手を引いた彼女は真正面から抱き着いてくる。
背にたわむ服を小さく掴み額をすりよせ、消えかかりそうな声が幼さを持つことに気づいた。
「……拓海くん」
押さえつけていた額と体でめいっぱい後方へと押してくるから、素直に数歩後ずさる。
膝裏辺りにベッドの縁があたり、腰を下ろすと足の上に座ってくるAさん。
鼻先が触れそうな距離で見つめられ、空気を飲み込んだ。
「……会いたかった」
俺を見つめる瞳はいつもより淑やかに濡れていて、頬が淡く染まっている。
頬をすりよせてきて、確かめる様にきゅぅと抱き着く所作は庇護欲が膨らむばかりだ。
「…久しぶりでしたもんね」
俺の声に頷くAさんはかぷりと耳たぶを食み、そのまま肩口を唇で遊ぶから頭を撫でる。
指先がシャツの皺を濃くして、それもしばらくで離れ頬に口づけた彼女は顔を上げた。
「…拓海くん、こっち」
「はい…？」
仕事の兼ね合いもあり、直接声を聴くのは週を２回跨いでの今日だ。
甘えたの加速にむず痒い気分になっていれば何を思ったか俺の身体から降り、枕をぽむぽむと叩く。
頭を乗せるよう誘導してくる自由奔放さは珍しく理解が追い付かぬまま寝転ぶと、腰あたりに跨った後覆いかぶさるように顔の傍に腕を置いた。
ちっこいと迫力無ぇな、と乗っかってくる猫みたいなものを思い出す彼女を好きにさせていると何かが違うらしくそのまま体の真上に乗っかる様に抱き着いてくる。
全体重を預け遠慮がないのもこれまた珍しいが、続く言葉にはノックアウト寸前だった。
「…落ち着かない。もっとくっつきたい」
これで、はいそうですね。と寝かしつけられる男など、いるのだろうかと悟る。
「…既にゼロ距離っすけど」
何やらそういう雰囲気では無いせいで、すんでで辛抱した方である。
だがしかし、今日の彼女はめげなかった。
「違うの、もっとくっつき……じゃあもう一体化したい」
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み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜！！ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (
レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい！！！！やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります！ (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
る - 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…！お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります！ (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2023年9月29日 15時
