はじめて。 ページ2
仕事や私生活を含め互いに多忙だった日々が落ち着き、久しぶりに二人きりの時間が取れた金曜の夜。彼女の部屋で夕食を終えた。
これまで複数回訪れてはいるものの、ようやく皿やコップ、タオルの場所を覚えたくらいで未だ緊張は生きている。
日も暮れた部屋はカーテンが出番を与えられ、手料理を振舞ってもらえた後というのは中々腰が重いものだった。
「拓海くんはこの会社のアレンジパーツ知ってる？」
「初めて見ました、結構手軽ですね」
「でしょでしょ？ボーナス待ち遠しい…」
帰宅の準備を、と脳内は体を急かしても、会話の一つ一つを嬉しそうに楽しむ姿はいつまでも見ていたくてしょうがない。
そうしてひと段落ついたあと、今までご機嫌に車のアレンジを語っていたAさんは急に目を伏せ言葉を迷った。
「…あの、…拓海くんは…えっと、その、」
絡んだ視線が、ぱっと逸らされ薄い瞼が隠す。
もしや、早く帰らせたいのではなかろうか。
申し訳なさそうな顔で、俺の服の裾をちょんとつまみ言葉を迷うAさん。
いや、もしかしなくとも彼女もようやく連勤を終え待ちかねた休日なのだ。
家事に掃除に自分のしたいことだってたくさんあるだろうし、それならいつまでも俺が居座るのは邪魔でしかない。
気づいてすぐに、嫌われたくない、などと一番に思うのだから俺も俺である。
「すみません、長居しすぎましたね」
「え、ぁっ、ちっ、違うの、ちが、……た、…拓海くんは、その、明日、は…」
言わせてしまう前に暇を告げるべきだ。
ようやっと重い腰を上げた俺に、はっとした彼女はとっさに腕を掴んでくる。
驚きが隠せない俺に、ご予定は、…。と絞り出した小さな声はほぼ消えかけていた。
「…休み、ですけど…」
夜が遅くなったから、気遣ってくれたのだろうか。
どこまでも優しい人だと思い首を傾げると、丸くなった瞳は右へ左へ迷うように数回動いて、意を決したのがぎゅっと強く目をつむった。
それとほぼ同時に腕を掴んでいた細っこい指先に力がこもって、片膝をついた中腰姿勢のまま身動きできない俺を見つめる瞳。
「か、……帰らなきゃ、だめ…？」
それはとても小さくて、努めて耳を済ませなければ聞き逃してしまいそうで、それでいて普段とはまた違う、甘さを含んだ声だった。
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み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜！！ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (
レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい！！！！やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります！ (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
る - 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…！お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります！ (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2023年9月29日 15時
