レクイエム【オリジナル】 (ページ2)

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２：先輩ページ2

時は××××年、戦争は突如として打ち上げられたミサイルへの報復として始まりました。

緊急速報が館内に響き渡り、下官の私達が恐怖に慄いて居る頃。
先輩であった貴方だけが落ち着きを払っていたのを今でもよく覚えています。

先輩はその状況の中、

『家族への別れはするな』

と言い切り、理由は何一つとして教えてはくれませんでした。

今になって思うと理由はもう察しがつく話ですが.......。

家族への別れはするなって言い切ったのは、

【また帰ってくると言う事】

ですよね。
そう信じたいです。

あの時はそんな事にすら頭が廻らない状況でした。
毎晩の様に館内に響き渡る警報と、仲間の戦死情報にも慣れた頃、

『人の心だけは忘れるな』

と先輩は言いました。

｢今は戦死情報が毎日流れて警報は鳴り続ける状況です！心があればただ単に傷付くだけではないですか！｣

私はそう言って、初めて先輩に怒りをぶつけました。

妙に落ち着きを払った先輩の様子にすら苛々が募り、日頃からの鬱憤晴らしの様にして仕舞った事。
今思えば本当に申し訳ない事をしたと...。
先輩が本当は一番辛かったのにと、あの日の事は未だ後悔が尽きません。

軍人になりたての新米だった私達下官に、何があっても厳しい事を言う先輩の最期の晩。

先輩はいきなり私を呼び出して、裏に何かを書かれた写真を渡しましたよね。
筆圧が強くて写真の表面がぼこぼこでした。

でも、その時には暗くて写真は見えなかったんですが。
そして徐に先輩が長くなるかもだなと話し始めたのは、まぁ、憶えてないでしょうけどね。