４：あと少し ページ4
村民が松明を右手に持ち、それぞれの方向へと歩いて行った。
【化け物狩り】だからと、どんな手段を使おうが狩れば良いと言われ、村民は様々なモノを準備した。
熊を狩る為の猟銃、魚を突く為の銛、引っ掛けて縛る縄、など様々なモノだ。
でも俺は彼女がどんなモノか知っていた。
化け物、厄病神、とも言われていたが、
彼女はこの村で神隠しに合った娘だった。
この村の為に蘭学を勉強し医者を目指した。
蘭学と言うのはオランダの学問の事だ。
厄病神だと言われる原因になったのは、実際は疫病を治す為だったり、米が取れなくなった所へ水を引いたりと。
じゃぁ何で、それを村民へ言わなかったか。
いや、言ったんだ。
それでも止まらなかった。
答えは簡単だ。
村は退廃していて村長以外の言葉にはもう聞く耳すら傾けなかったからだ。
この村は大麻が蔓延んでたんだ。
そいつらの人格はもう、無かったんだと思う。
｢っ！｣
俺が先に彼女を見付けたら助けられる。
そう思いながら探した。
村民に合わせ、武器を持っていった。
この弓矢は遠距離を飛ばせるからなと言って。
村民の人数の問題もあって、俺は一人で森の方向へ歩いたんだ。
不意に近くから音がした。
草木を踏み付けた音だ。
俺はその時、砂利道を歩いて居たから
俺じゃない、この音は違うと思った。
紛れも無く彼女だと確信した。
振り向いた時、俺は絶句した。
彼女の傷だらけの姿。
それでも彼女は微かに笑った…
“た＿＿＿、＿＿＿＿＿きだよ、またね。”
その言葉が聞こえた瞬間と、猟銃の鈍い音が響いた瞬間は同時だった。
目の前で彼女は倒れた。
撃った村民は歓喜の声に上げて彼女に火をつけた。
彼女が生きてなかった事が幸いだ。
俺は焼けていく彼女をただただ呆然と眺める事しか出来なかった。
焼け残ったモノは骨だけだった。
知り合い...だったモノが目の前で焼けていく。
あん時の恐怖は何とも言えないな。
壊れた人間がまともな人間を殺すんだ。
俺はそん時から煙草が手放せねぇ。
勿論、大麻が入った煙草、がな。
壊れた人間になっちまえば、そんなこと気にしなくていいからな。
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作者名：誰かさんの裏垢 x他1人 | 作成日時：2018年5月20日 18時
