青春れもねーど。【Yuta.K】 (ページ8)

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なんとなく気分が晴れないまま、放課後になって。

『A帰んぞー』

「……わたし今日は、」

？『あ、おった！！岸くんー！！』

『うぐっ！！』

いつものように扉の近くで待つ岸に今日は帰れないと言おうとすると、岸の背後から思いっきり飛びつく男の子。

危うく私のほうに倒れてきそうになるけど、なんとか岸が踏ん張った。

『おい紫耀！いきなりはやめろって言ってんじゃん！』

紫『ええやん～岸くん受け止めてくれるし！ってそうや！岸くん今日部活出てくれへん？試合すんのに人足りんくて困ってるねん』

ニコニコしてるこの男の子は隣のクラスの平野くん。

平野くんはバスケ部に入ってるんだけど、あまり人がいないらしくて、こうやってたまに岸に助っ人を頼むことがある。

『またかよ！しょうがねーな！……A終わるまで待つ？』

「え？普通に帰るよ」

『は？！なんでだよ！』

なんでだよ、とは。こっちのセリフなんですけど。

藤「岸くんっ」

『あ？あー、藤山ちゃん！』

岸くん振られてやんのー、とゲラゲラ笑う平野くんに
うるせえ！とヘッドロックをかけてじゃれ合いだしたから、こっそり帰ろうかと思ったところにまさかの藤山さん登場。

ますます早く帰りたくなる。

藤「今日も一緒に帰れたらな～って思ったんだけど…」

『あー悪い！今日バスケ部行かなきゃなんなくて』

紫『なあなあAちゃん、この子は？』

「あ、えっと、藤山奈々子ちゃん。……最近岸に告った子」

紫『へー！この岸くんに告ったんや！』

よかったら見学してく？え、いいの？

なんて声が聞こえる中で、ひとり不思議そうな平野くんに説明してあげると、

紫『そんで岸くん仲良くしてんの？Aちゃん一筋やったのに意外やなあー』

「………ん？？？」

なんて、いまいちよく分からないことを言う。

一方で、私たちがそんな会話をしてる間も岸と藤山さんは２人で盛り上がってて。

２人を見つめる私の視線に気づいた平野くんに、Aちゃんも素直じゃないな～って笑われて。

？『久しぶり～Aちゃん』

「あ、顕嵐くん…！！」

完全に帰るタイミングを失ってしまっていたとき、ふいに頭に手を置かれて。

振り返ると、岸と中学からの友達の顕嵐くんがいた。

……救世主だ。