青春れもねーど。【Yuta.K】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:129,391 hit

☆5 ページ5

『A帰るぞー』

「ちょっと待って、」

放課後は岸と帰る。

それは去年からずっと変わってない。
そのせいでみんなには付き合ってるの？なんて勘違いされることもあるけど。
言われるたびに全力で否定する。

真希とじんちゃんに挨拶してから扉の入り口に立つ岸の元に向かう。

『なんか腹減った』

「岸のおごりね」

『いや俺まだなんも言ってねーけど？』

なんていつものようにふざけながら下駄箱まで向かっていると。

藤「岸くんっ」

『あれ、藤山ちゃんじゃん』

藤「……わ、私も、一緒に帰っていいかな」

と、私たちの前に現れた藤山さん。

収まってたあのもやもやが再発する。
なにこれ？もうやだ。

「……私先に帰るよ？ふたりで帰んなよ」

『ちょっ、待てよ！３人で帰ればよくね？』

「は？」

『わりぃな藤山ちゃん！コイツ俺と帰るのが日常茶飯事って感じだから！』

「えっ、あ、ううん、大丈夫！」

じゃ行くか！なんて岸の意味不明な提案のせいで３人で帰るっていうカオスな展開。

そもそも帰るのが日常茶飯事とか意味が分からないし。いつも以上に岸がおかしい。

しかも告白相手にそんなこと言うなんて……そう思って藤山さんを見ても、岸の話を楽しそうに聞いてて。

なんだかキラキラして見えた。

『藤山ちゃんどの電車？』

藤「私は東方面だよ」

『マジ？俺と一緒だわ』

あぁほら。いい加減しつこい、もやもや。

そんなもやもやと１人で闘っていると、駅まで着いてしまった。

「……私ここでいいよ、２人方向一緒なんだし」

『いや、でも』

「じゃあまた明日ね！バイバイ、藤山さん」

藤「あっ、うん……」

いつもは私が乗るホームまで勝手についてくるけど、今日は改札口で別れて。

２人の時間が増えちゃうじゃん。
なんて考えた私は本当におかしい。

岸が何かを言う前に背を向けて階段を降りる。

これでいいんだもん。

……これで、いい。