青春れもねーど。【Yuta.K】 (ページ32)

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オススメのスポットを近所の人に教えてもらった！という岸の案内で連れてこられた場所は、たしかに穴場らしく見晴らしがいいのに人がいない。

『なあ、ひとくち』

「えーやだ」

『なんでだよ！俺の金だぞ！』

「そういうの嫌われるよ」

『うっせ』

「わ、ちょっ、バカ！」

ここに来るまでに珍しく岸が買ってくれたかき氷をふたりで奪い合ってると、開始を告げるアナウンスが聞こえて。

「わ、綺麗…」

『すっげえー』

去年よりパワーアップして…とか誰かが言ってたような。確かに去年４人で見た花火より綺麗な気もする。

でもそれは隣のコイツのおかげかもしれない、なんて思ったり。

「あ、ねえ見てハート……」

ふと隣を見上げると、岸が真剣な顔で、だんだん近づいてきて。

あ、くる。

直感的に思って目を閉じると、案の定触れた唇。

『…いい加減慣れろよ、俺まで恥ずかしくなる』

顔が離れたあと、真っ赤になる私を見て岸が照れ臭そうに言うけど。

こんな甘い雰囲気、慣れられる気がしない。

「ま、まだ3回目だもん…」

『ばっ、お、お前なんで数えてんだよ！！』

私がそう言うと今度は岸のほうが真っ赤になって、頭を小突かれる。

痛い！と岸を睨もうと顔を上げると同時に両手を掴まれて。

『……これからもう数えられねーぐらいしてやるからな！』

「え、まっ………んん、」

少し強引に重ねられた4回目のキス。
本当にそれが何回目か分からなくなってくるまで続けられて。

うっすらと目を開けたときに視界に入った花火が、今まで一番綺麗な花火だった。

end♡