青春れもねーど。【Yuta.K】 (ページ4)

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結局岸が帰ってきたのは予鈴が鳴ってからで。

教室に入ってきたとき一瞬目が合ったけど、すぐに逸らした。なんか、やだったから。
って言っても席は前後なんだけど。

そのまま眠気と闘いながら５限目を終えて。
休み時間になったと同時にじんちゃんと真希が私たちの席に集まった。

真「で？」

『いや、で？ってなんだよ』

勇『とぼけんなってー！告られたんだろ？』

『あー…まぁ、な？』

「そのドヤ顔きも」

『うるせーA！』

ギャーギャー言う岸はいつもと同じ、なのに。

真『で！今回も断ったの』

『そうっすねー……けどぉ』

真「けど？」

『友達から？仲良くして下さい的な？』

「……へぇ」

勇『てかなんて子？岸くんに告るなんて物好きな子だね』

『うるせえよ！』

「藤山さんでしょ。藤山奈々子ちゃん」

真「あー、あの可愛い感じの子」

もやもや。もやもや。
あーもう！いやになる。

そんなときタイミングよく本鈴を告げるチャイムが鳴って。
真希とじんちゃんが自分の席へ戻っていく。

私も前を向こうとしたら

『……なあ』

「いった……もう、なに？」

襟元を引っ張られて。
岸のくせに乱暴だ。

『OKしたほうがよかった？』

「は？」

『どう』

コイツはなぜ私にこんなことを聞いてくるのか。
軽くあしらいたいのに、真剣な顔で私の返事を待っているから。

「……別に、好きな子いないんならOKすればいいんじゃない」

『いる』

「え？」

『好きな子。……いるよ』

「…………私に聞くほどの話じゃないじゃん。やっぱ岸ってバカ」

『う、うるせ！』

なんだ、好きな子いるんじゃん。
……またこの感情。霧がかかったみたいな。

"好きな子。……いるよ"

そう言ったときの岸の顔が頭から離れない。
岸相手に。…気持ちわる。

そう思っても、そのあとの授業が全く頭に入ってこなくて。
もやもや。それが気持ちわるい。