幕切れ ページ50
ひらり。
視界の端に青色と赤色の何かが映った気がした。
それを目で追うと、困ったような…すこし哀れむような藍川くんの視線と私の視線が重なった。
「ほら、行くよ。正直問い詰めたいところなんだけど、治療が優先だから。」
『あ、うん……ごめん』
「京士がホントは鬼だったこと、隠してたのが良くなかったんだからな〜。柱や御館様になんて言われるか…!
まーでも、こいつらの怪我に関しては下弦の壱の血鬼術のせいだろ?じゃ仕方ねえさ」
『ありがと…』
下弦の壱を倒した山中の木々の中から、麓の町へと戻っていく。
その白百合を、大きな満月が淡く照らした。
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「あーあ、俺の大切な教え子、殺されちゃったぁ」
自分の館へ戻って、無惨様がロビーで下弦の弐より下の鬼たちを集めて何か話をしているところを、二階の吹き抜けから覗き見る。
俺、あの子の…咏天くんの本当の先生じゃなかったけど。
でも、鬼になったばかりの咏天くんを拾って、人間の殺し方、稀血の見分け方とかを教えてあげたのは事実だ。
「…はーぁ、また俺ひとりぼっちかぁ〜」
「そんなことを言っている暇があったら、もっと外に出て無惨様の為に鬼殺隊を殺せばいいだろう。」
「暇を持て余してるなら、もっとここに人を入れて喰って、強くなればいい。」
「なんなん?今の俺超センチメンタルなんだけど。 てか、壱、伍、陸は?」
振り向きもせず、背後のふたりを判別して話を続ける。
「奴らなら、自分の持ち場で上手く鬼殺隊を殺している。」
「放浪癖と出不精を兼ね備えたあんたと違って。」
「は〜?サボり魔に言われたくないからね手ぇ出るよ?」
他愛のないやりとりの最中、悲鳴と血の匂いが充満する。
あ、これ下弦の子達みんな殺されちゃったな。
無惨様が自分の居城へと帰るのと一緒に、後ろの二人も自分の所へと帰っていった。
「そして誰もいなくなった…いいよ、新しい“おともだち”増えたから。」
独りつぶやき全ての扉を閉じる。
「今度会った時絶対、こっち側に誘ってあげるからね、藍川久留米。」
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──物語は紡がれる。
幾度となく生まれ出づる鬼を、幾度となく倒して、殺されて。
家族を鬼に殺され、兄弟同様の友を鬼にされた少年と、鬼として人を守りし少年。
彼らの物語は、潰えることなく続くでしょう。
それではまた、次の舞台でお会い出来ることを、心よりお待ちしております。
11人がお気に入り
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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時