騒天の叫び ページ39
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「ふ､は､あはは､はは､」
子どもの姿から､成人の男性のような声｡
見かけだけで何人も騙し､その歌声で何人もの人間達を喰らい､鬼殺隊を殺してきた鬼は､死体の山へと手を伸ばす｡
その先にはまだ真新しい…まだ息のある､半女性的な体つきの人間がいた｡
それを片手で死体が折り重なる中引きずり出す｡
｢ゔぅ…｣
「あれぇ､まだ生きとったんか｡足をあんなにズタズタにしてやったのに｡」
｢なん……で…こんな……｣
黙らせるように､人間の腕にぎりぎりと爪をくい込ませ､その爪でつぅ､となぞりゆっくりと傷を作っていく｡
その間に､痛みで人間から小さな悲鳴が零れる｡
「なんで？それは決まっとるやろ､これが楽しいからや｡」
｢たのし､ぃ、なんて……｣
「うるさいなぁ…それと､その藤みたいな色の目でこっち見られんの､嫌やねんけど」
｢…ｯ､思い､出して…ください……！あなたは､そんな……！｣
──思い出せ､なんて
─俺は､こいつを知っている？そんなはずは無い…
一瞬だけ､
──知らない｡それは､違う｡
｢どうして､
──違う｡
──違う｡
「なんの事や､俺はそんな名前とちゃうで｡」
｢違う…はず､ない…！数年前､から…変わってない……どうして､…っ､どうして､違うなんて──｣
「黙れや､腕と目､引っこ抜いたるぞ」
“狂”の字が“惑”へと一瞬だけ変わりかけ､“怒”へと変わった｡
「俺は天野､なんて名じゃない｡あの方に
間違えるなよ… いや､もうええわ､その色も声も何もかも､気に入らん｡」
大きく息を吸い､次の瞬間には音として鼓膜が情報化することも困難な､叫び声とも金属音ともとれないものが､森の中を響きわたり…
…最後まで､何かを訴えるように縋っていた人間も､藤色の瞳を閉ざし､動かなくなった｡
──血鬼術
使った本人以外の､聞いた者の命を絶やす騒天の叫び｡
人間を容易く殺し､同時に他の鬼のみに位置を知らせるもの｡
─そう､鬼にのみ。
──｢あっちからすごい音聞こえたんだけど｣
鬼でありながら､鬼殺隊である明坂京士は､その騒天の叫びを聞き逃さなかった｡
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ライ - 続編楽しみにしてます！とても面白かったです！ (2020年3月27日 21時) (
レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…！！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます！最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが､なんとか頑張らせていただいてます…！楽しみにしていてくださいね！ (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています！！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します､コメントありがとうございます。(建前)ｴﾍｯありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時坂豆腐 | 作成日時：2019年9月23日 14時
