曇天の日 ページ38
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青の欠片もない､完全な曇天｡
今日はずっとこうかもな と､天原くんはつまらなそうな表情を浮かべ空を眺めた｡
『今日は満月だったはずなのにね』
月を眺めるのは好きだ｡月は､私とどこか似てるから｡
月は､太陽に照らされて光り輝くのだという｡
太陽がないと美しく在れない月と､誰かと共にいなければ力を発揮できない私｡
…こじつけかもしれないけれど｡
｢でも､今日みたいな日だろ｡その十二鬼月ってやつが現れるっていうのは？｣
｢うん､そうなんだよね､Aさん？｣
『…うん､だから､今日絶対仕留めておかないと､次はいつ月のでない夜が来るかわからないし､これ以上人を襲わせるわけにもいかない｡』
京くんがこちらを少し見て､少し微笑んで小さく頷く｡
皆､獣舞山へ向き直り､一斉に十二鬼月､下弦の壱が潜む山へと走り出した｡
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─場所 舞の町の裏手 獣舞山
微かな旋律と､酸化した血の臭いの漂う森の奥｡
人々の死体の中に佇む細木の上に､雑面をつけた子どもの姿があった｡
「歌､相変わらず上手いね」
死体の隙間､細木の足元に､深海のような青い髪､それと対比するように真っ赤な
「何や､今日も来たんか｡」
子どもの雑面の字が“咏”から“呆”へと変わる｡
「いいじゃん､暇なんだ独りでずっと｡」
「はぁ､…で､なんの用や」
“呆”から“黙”へとまた字が変わる｡
「鬼殺隊の子達が今日､君を殺しにくるよ」
「そんなん､もう知っとるわ」
「えぇーつれない､もっと驚くかしてよ」
“黙”からまた“咏”へと変わり､子どもは歌を続け青年を無視した｡
それを見て青年はしょんぼりした様子で話を続けた｡
「そのうちに一人､鬼なのに鬼殺隊に入った子がいるんだってさ､その子､どうする？」
「鬼が鬼殺し……､ふ､ははっ､おもしろい事言うやんけ」
“咏”の字がじわじわとシミが広がるように“狂”の字へと変わってゆき､子どもは死体の上へと軽く降り立った｡
「無理やりにでも､仲間の肉を喰わせて､手足を引きちぎったり首を切ったり目をとったりして遊んでやろうやないか､はは､は､あは、」
狂気的に笑うこども の､姿をした鬼を見て青年は楽しそうに､嬉しそうに笑って､
「それじゃ､また今度ね」
と､くるりと
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ライ - 続編楽しみにしてます！とても面白かったです！ (2020年3月27日 21時) (
レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…！！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます！最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが､なんとか頑張らせていただいてます…！楽しみにしていてくださいね！ (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています！！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します､コメントありがとうございます。(建前)ｴﾍｯありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時坂豆腐 | 作成日時：2019年9月23日 14時
