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劣等の雫 ページ34

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満月とまではいかない、けれど、大きな月が夜を照らす。


天使のように飛んだり跳ねたり、風と共に鬼の首を斬る天原くんと、ひらりと鬼の懐に入り込み針で静かに殺す京くんを横目に、私と藍川くんは少し大型の異形の鬼を相手していた。


『ちょっとこれ…、並の鬼より喰ってない?』

「そうみたいですね、少し頸が硬い…!」


基本的には、─言い方は悪いけれど─肉塊のようになる異形の鬼だが、今回の鬼は人骨のようだった。
それ故に腕とかも硬く、刃がなかなか通らない。

二人揃って呼吸を整え、技を準備する。


その間にも迫る骨の手

藍川くんの方をちらりと見て、型を変える。


『水の呼吸、漆ノ型 雫波紋突き』


水の呼吸の突き技で、迫る手を牽制し、止めた。
動きの止まった腕を足場にし、藍川くんは異形の鬼の首まで一気に距離を詰める。

刃から波のようなものが見える。
私とは違って、水が薄くない。


「水の呼吸、肆ノ型 打ち潮、ッ!」


澱みなく、なめらかな流れが、異形の首を切り落とす。

それに安心したのも束の間、まだたくさん鬼の気配がする。


「いったい、どれだけの鬼が潜んでるんでしょうか、この町…!」

「潜んでいる、というよりは…この町のどこかに稀血の人がいるんだろうね。」

『みんなそれを狙ってるんじゃないかな、多分』


さすがに乙が二人いても、厳しくなってきた。
強い相手が一体なら多少は耐えれるだろうけど、弱くてもたくさんだとキリがない。


『(はやく、増援来てくれないかな……)』


そう、弱音を吐きそうになった、その時


「ぅわーッ!!めっちゃいるじゃねえか!!」

「ちょっと黙って、鬼狩りだとしても夜中うるさいのはダメだから!」

「やだやだやだなんで俺まで!」

「腕試しにはちょうどよかね!そう思わん?」


私たちより若い…というか、藍川くんと同じ歳くらいの四人の声。


「もしかして…和人さん?」

『え、知り合い?』


よくよく見ると、見慣れた赤い羽織と白と黄の羽織の二人組…忠継くんと京士くんだった。

見慣れない海原の柄の羽織と格子柄の子達と一緒に、襲いかかっていく鬼たちを少し苦戦しつつも確実に倒していく。


「あ、Aーっ!大丈夫か〜!?」


大丈夫、と手を振り刀の色を見られないように鞘に収める。

階級だけだとまだ不安しかない…何しろまだ癸のはずだから。
けれど、何故だろう。彼らがいるなら大丈夫と思える。


薄らと、月に細雲がかかった。



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人物情報 肆→←朝日と舞



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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時

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