仕切り直し ページ31
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「耳は大丈夫?」
まだ目が慣れない、牡丹色のさらさらとした髪と羽織に、ほんの少しだけ顔をしかめる。
耳から頭にかけての痛みは、もう完全に引いている。
『私はもう大丈夫。…でも、多くの隊士があの鬼にやられてしまった、刀も砕かれてしまったよ…』
──ア゙ァン!?オレの刀が折れたァ!?
頭の中で切枷さんの怒号が響く。ごめん、わざとじゃないんだ。うん。
舞の町に派遣された鬼殺隊士は、私のいた隊だと八名…私以外皆、あの子供のような鬼に天を震わすような金切り声のようなもので脳をやられて、外傷もなく殺された。
「ごめん、もっと早く来て、手助けできればよかった。」
京くんは申し訳なさそうに俯く。
なにか声をかけようと、軽く手を伸ばした その瞬間、
「みーかさ〜!あの鬼、
大きな声をあげながら、こちらも染めているのか…空色か浅葱色だかの明るい髪色の同い歳ほどの男の子─こちらも覚えがある。京くんや私と同期で風の呼吸の使い手─が窓から入り込んできた。
「こら、こっちは耳痛めてる子いるんだから大声出しちゃだめ。」
「あっ、そうだった…ごめんごめん。」
ひらりと降り立つその姿は、羽織が特殊な形をしているせいか、それとも人とは思えない髪色をしているせいか…まるで天使と呼ばれるもののようだった。
『君は、ええと…?』
「あれっ、選別の時自己紹介しなかったっけ?」
「ほら、改めて自己紹介したら?Aさんは知らないんだから。」
「うーん…そっかぁ、じゃあ─」
なにかを準備するように、軽く身構えている。
それをみて京くんは少しため息をついて、
「普通に、ね。いつものあだ名じゃわかんないから。」
と釘を刺すように言った。
天使のような彼はむすっとした表情で身構えを解く。
「水嵩が言うなら仕方ない。俺は
『きの…と……』
こんなに自由奔放そうな人でも、実力さえあれば階級は上がっていくのか。
少し私は、気が沈みそうになる。
「さっき、萩十には調査と一緒に鎹烏をお館様の元へと飛ばして増援要請をしてもらったよ。」
「あの鬼、十二鬼月であってるんだよな?」
『うん、偶然接近した時に、雑面の下の目が片方だけ見えた。』
私たちだけじゃ、ダメだ。
誰かに、助けてもらわないといけない
相手は、それほどの強さの鬼なのだ。
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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時