鬼を狩るのは ページ23
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「忠継〜!」
とてとて という音がしそうな走り方で、京士が偵察から戻ってきた。
「どうだった、鬼いそうだった?」
「んんー…わかんね」
鬼でありながら鬼殺隊である京士なら、鬼の気配がわかりやすいかと思ったけれど、経験がまだまだ足りないのか、鬼の気配がどのようなものなのかを具体的に掴めてないみたいだった。
「あ、でもめっちゃ足速い人には出会ったぞ!」
「こんな夜中に?住民は鬼が出るからって皆家にいるのに…」
「用事してたら暗くなってて急いで家に帰るとかじゃね?」
「いやまぁ…ありそうだけど」
鬼が人を襲っているかもしれないのに、そんなに呑気で大丈夫なのか…いや多分大丈夫じゃないと思う。
「そうだ、なぁ忠継」
「なんだよ今度は…」
「さっき言った足速い人に、『その鈴音鳴ってないから、交換するか治してもらえ』って言われたんだけど」
「…え?」
─藤鳴の鈴の音が聞こえないのは、鬼だけだよ
京士がつけている鈴と対になっている鈴を、朱羽根さんから貰った時に、そう教えて貰った。
実際、藤鳴の鈴のカラカラという可愛らしい音は俺には聞こえていても京士には聞こえていない。
それが、京士が偶然会った人にも聞こえていない?
「京士、その人、どこ向かって行ってた?」
「へ?病院の反対側、だけど。」
「わかった。行くぞ京士」
「は!?ちょっと待てよ、どうしたんだよ!」
走り出した俺に、待てと言いつつ後をついてくる京士に、「藤鳴の鈴の音が聞こえないのは、鬼だけだ」と伝えた。
すると マジかよ… と声を漏らし、真剣な表情になる。
早く、早く見つけ出して、人を喰う前に狩らないと──
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「なんやお前、雑魚やなあ。」
鋭い爪と“霧ノ刃”で切り落とした相手の鬼の首を掴んで、ゆらゆらと揺らす。
「オメェ…鬼のクセに、なんでオレの首を落とすんだ…!?」
手元でギャンギャンとうるさいので、体の方をキリキリと糸で木の上に縛りあげる。
「何だソレ!?血鬼術、ってェやつか!?」
「いいや、これは知り合いの部屋の入口に、嫌がらせで張られてた、ぴあの線っていう糸。こんなとこで役に立つとは思わんかったわ。」
明け方が近いのか、空が白み始めた。
「ヒッ、焼けちまう、降ろしてくれ!」
命乞いをする相手の体を、さらにギリギリと糸で縛り、高いところへと上げる。
日の光が、ちらりと視界に入った。
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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時