一日目 夜 ページ11
開始が夜だったからか、それとも俺の体質なのかわからないけど、開始早々鬼に襲われた。
「ヒッヘッヘッヘ、おいボウズぅ、お前稀血だなぁ?」
鋭い爪で襲いかかりながら話しかけてくる。
稀血、って言ってるけど、何なんだそりゃ
「知るか!あと笑い方気持ち悪いぞお前!」
「忠継!こいつスパッとやって早く!」
「そんな簡単に言うなよ、京士お前自分が呼吸使えないからって!」
そう言っている間にも、意識を集中させ、呼吸を整える。
─全集中 水の呼吸──
近くにあった木を足場にし、鬼の頭上へ、高く飛ぶ。
─壱ノ型 水面斬り──
Aさんに教わった、全集中の呼吸のうちの水の呼吸。
実際には雨も何も降っていなくて、水なんて近くにはないのに、水しぶきのような冷たい空気が波打って、刃と共に鬼の首を落とす。
「んなぁ゙!?一番弱そうだと思ったのに!?」
落ちた首が喋り続けているのをみて、京士は驚き、
「ギャーッ!そのまんま喋んな成仏しろ!」
と、叫びながら落ちた鬼の首を蹴り飛ばした。
飛ばされた鬼の首は、言葉にならない断末魔のような捨て台詞を言いながら遠くへ飛び、塵になっていった。
「日輪刀、って本当すげえんだな。これで頸を斬ると骨も残らないや。」
「Aと友矢の借りてるから、折らねーように気をつけないとな〜」
そう言いながらフラフラと一人で木々の間へと歩いて行こうとする襟首を軽くつかんで、「勝手に動くな って言われて一日も経ってないぞ」と軽く注意すると、ちぇーっ と悔しそうに、少し面白そうに声を漏らした。
「お遊びで来てるわけじゃないんだからな、さっきの見て分かるとおり、命かかってんだから。」
「それはわかってっけどさぁ〜」
と、二人で話していた、その時
「たすけてぇぇぇ!!」
少し離れた場所から悲鳴が聞こえた。
「京士、やばい、早く助けに行こう」
「行くったって…間に合うか!?」
「間に合わせる!!」
この場所からはそう遠くない。
Aさんや朱羽根さんも言っていた。
なるべく助けを求める人がいたら、助けてあげてね と。
「じゃあまず、何かここ最近体力がすこぶる調子いい俺が全力疾走して助けてやるか!!」
「頼んだぞ、ヘマすんなよ!?」
「わかってるって!」
鬼となっていることを自覚させないようにしていながらも、その体の強さに頼っている。
すこし悔しい気持ちを抑えられないながらも、京士の後を追い、悲鳴が聞こえた方へと走った。
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ライ - 続編楽しみにしてます!とても面白かったです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 56923292e8 (このIDを非表示/違反報告)
風守 風華 - このお話本当に大好きなので更新頑張ってください…!! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 050c795d91 (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます!最初よりも更新ペースが落ちてきてしまいましたが、なんとか頑張らせていただいてます…!楽しみにしていてくださいね! (2020年3月1日 23時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - 続き楽しみにしています!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: fbaa55833c (このIDを非表示/違反報告)
時坂豆腐(プロフ) - 匿名希望のななしのごんべさん» 失礼します、コメントありがとうございます。(建前)エヘッありがてぇ(本音) (2019年10月17日 22時) (レス) id: beb385ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時坂豆腐 | 作成日時:2019年9月23日 14時