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。……ここで、三途にとっては全く把握外の知識について少し述べよう。
スピーチに適した文字数は、日本語の場合、一分におよそ三百文字を目安にするべきだと言われている。人間の聞き取りやすい声の速度がおおよそその程度であるからだ。
文字数をそれ以上詰め込むと、どうしても早口になって聞き取りづらい。文字数をそれ未満にしてしまうと、間延びし過ぎた印象になるか、単に時間が余る。
一分に三百文字だ。
六十で割って、一秒なら五文字。
猶予は残り二秒。
詳しく説明するにはあまりに時間が足りない。
三途はそのような理屈を知らずとも、そこだけは、間違いなく、理解していた。
だから。
三途は、こう続けた。
「
彼の声は廃車場に響き渡った。
残り二秒から八文字を引算。
あと、〇．四秒。
上記の試算は必ずしも正確さを保障するものではないことを述べておきたい。あくまでも目安を代入して均して導き出した、すなわちただの概算でしかない。
三途はそもそのような理屈を意識していない。まず彼がスピーチの目安の文字数なんぞ知りもしなかったこともある。
知っていたとしても、この土壇場で、一刻の猶予もないタイミングで、果たしてその知識が的確に思い浮かんだか、思い浮かんだとしても適用する時間があったかどうかは、多分に怪しい。
これだけは言える。
三途のことばは、その声は、瞬き程度の間に、ほんの刹那に――滑り込んだ。
聞こえたすべての人々のところへ。
彼らの意識のほんの表層に。
場地が、刺される、前に。
これは奇跡の物語ではない。
これは理想の物語ではない。
未来を観測していても阻止できないことがある。いわんやそうでない人々の足掻きが、最後になにを生むか、なにを壊すか、誰一人予想もし得ない。
この時。この場。この条件下。
ありとあらゆる偶然と思惑が重なって転がってかち合ってすれ違って、今が織り成されている。
奇しくも概算は正しかった。
三途が言い切ったのは、間違いなく、残り〇．四秒のタイミングだった。
その声を千冬が聞いた。
その声を花垣が聞いた。
その声を場地が聞いた。
その声を稀咲が聞いた。
その声を万次郎が聞いた。
その声を。
一虎が聞いた。
「……え、」
ゼロ。
そして場地は刺された。
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-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» ありがとうございます。今回は我ながら異様なスピードで書き上げてしまいました。続きはしばしお待ちいただければ幸いです。 (2022年11月1日 21時) (
レス) id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 一番最初から読み直してたら血のハロウィン終わってた💦場地さん生き残ってるー✨稀咲兄弟がお互い確認しちゃった‼️続きが、聖夜決戦がどうなるのかメッチャ気になりますー💦更新、楽しみにお待ちしてます。 (2022年11月1日 11時) (レス) @page50 id: 2cf0cd68b6 (このIDを非表示/違反報告)
-Doe(プロフ) - 安蒜 佑さん» ありがとうございます。ずいぶん長くなってしまったシリーズですが、それでも読んでくださる方がいらっしゃることがとても嬉しいです。更新ペースはまちまちなので気長にお待ち下さいませ。 (2022年10月31日 13時) (レス) id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
安蒜 佑(プロフ) - 面白くて面白くて、続編に進む度にまだ続編があるか確かめて読んでいましたが、ついに追いついてしまいました...ちなみに、2日で全部読みました。余暇の時間すべて読むのに捧げました(笑) 大好きです！続きも楽しみにしてます！ (2022年10月30日 23時) (レス) @page50 id: 789e459cc4 (このIDを非表示/違反報告)
-Doe(プロフ) - ありすさん» ありがとうございます。今後ともゆるゆると書いていきますので気が向いたときにでも覗いていただければ幸いです。 (2022年10月25日 21時) (レス) id: 3cd0340111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：-Doe | 作成日時：2022年10月25日 13時
