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「今回、必要があってクラブに来ただけでクラブに雇われてるわけじゃない。だからマジで客」
なんのことはない。Aはあっさりタネを開示した。
どう見ても客という印象は実際その通り、一般客に紛れる体を意図的に狙ったのだからそうでなければ困る。
「素行調査みたいなもん」
「まーた
「いや？ これは個人的な小遣い稼ぎ」
「……興信所？」
「違うが」
本当にちょっとした素行調査だ。やんごとなき御方の直系の孫が、どうにも些か遊びが過ぎる。灸を据えるがてら物証があれば楽なので集めておきたいとのお話。
この男、ジジババキラーと憎まれ口を叩かれる通り、どうにもご老輩から気に入られやすい。今件は知人の知人ぐらいの距離から回ってきた。
三途と出くわす前に必要な雑務は終えていた。あとはただの暇潰し。
「マ説明としては充分だろ。これ以上は俺の信用に関わる」
既に酒を嗜める年齢だ。Aはあっけらかんとうそぶいて、空のショットグラスを手の中でくるくると回している。
腹まで響く重低音。目もくらむようなライトと暗闇の錯綜。クラブの夜はまだ始まったばかりだ。
「さて、俺は答えたぜ。君はどうした？ 時と場合によっては本当に帰すが」
「……時と場合ネェ」
「無理やり連れてこられたとかな。好きでいるならまあどうでも。強いて言えば、変なのに絡まれたときは俺のこと避難所にでもどうぞ」
基本的に純丘Aは、こういう話で嘘をつくタイプではない。S62世代との付き合いが続くにあたって、なんらかの線引きを示しているのは、三途もなんとなく察している。
おそらく答えた方が得策、三途はそのように判断した。
「隊長に……優待？ のチケ貰ったんですよ。ここ最近揉めてて伍番隊とか特に疲れてっから、たまには羽伸ばしてこいって」
「ああ……」
少なくとも三途の自由意志でここにいるということだ。経緯を考えると、確かに年齢の三つ四つ黙認されてもおかしくはない。
彼らの与り知らぬことだが、武藤のチケットの出処も灰谷兄弟から横流しされたものだったりする。
「揉めてるんだな。まあそれは、お疲れ」
「トップが割れれば、そりゃあ」
「……あ？ トップ？ 君の所属って東京卍會だよな」
怪訝そうに尋ねたAに、ちょっと首を傾げて「……そー、ですけど」と、三途は回答した。
あまりに今更、それこそとっくに既知の話だ。初対面から東京卍會の特攻服を身につけていたし、Aの側にも、それがどこのチームの証か判別するだけの知識があった。
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-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» ありがとうございます。彼らの邂逅は今回は主題ではないのでさらっと流れますが、いつか再登場するのでお楽しみに。 (2022年9月28日 19時) (
レス) id: cbde0663a4 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 更新ありがとうございます✨サウス出てきた〜！と思ったら大寿くんと再会？！また面白い流れでワクワクして読ませてもらってます！ (2022年9月28日 15時) (レス) @page44 id: 2cf0cd68b6 (このIDを非表示/違反報告)
-Doe(プロフ) - 深月さん» ありがとうございます。読んでくださる方々に素敵だと思っていただけることがなによりも励みになります。気ままに読んでくださると幸いです。 (2022年9月25日 23時) (レス) id: cbde0663a4 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - 初コメ失礼します！ こんなに素敵な小説なのに評価が少なくてとても悔しい思いです。応援しているので、これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 23時) (レス) id: 7c4abecb60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：-Doe | 作成日時：2022年9月7日 0時
