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「つうか、今の状況は? 怪我以外」
『ワカとベンケイが伸してってっから問題ないっちゃ無いんだけど地味に数多くてめんどそうだな〜って思ってる!』
「オマエ実は余裕だな?」
『そりゃヨユーだけど、あの二人いたら余裕じゃねえことの方が珍しいし。エマと佐野のじいちゃんだけだったら、サッサとボコボコにされて下手すりゃ死んでると思う。コイツら見てる感じ、加減とか知らねえぜ』
予想外に真面目な返答が来て、三途は口をつぐんだ。
千咒の戦闘センスは若狭や慶三のお墨付き、そのぶん目も肥えている。彼女の見立てが間違っているとは思えない。
『天竺ってマジでやべーチームってワカから聞いたけど、総長の家族っつったってカタギにこの質の奴ら揃えて手ェ出すレベルなん? トーマンダイジョブ?』
三途がちらっと武藤を見た。
部下のアイコンタクトを受けて、武藤がイザナに目を移す。無言で考えていたイザナが指を三本立てた。
「三人はほしいとよ」
「……そいつら三匹ぐらい、確保できたらしとけ。聞きてェことがある」
『オーケー了解。あ、ハル兄切らないで! なんかエマの方今マイキーと繋がってんだけど、伝言あんだって。アレ今ハル兄マイキーと一緒じゃねえの?』
実際切ろうとしていた三途、思わず舌打ちをこぼす。そして、つくづく妙なところで気のつく妹だ。
「野暮用だ。で、なんだよ?」
『ん、今から言ってもらうから繰り返す。えー、こっちはケンチンとエマんとこ向かう、抗争は中止かせめて延期がいい、別件で部長が刺されて死にかけっぽい、エッ死にかけっつった? てか部長誰? 純丘A……は!? Aサンが!?』
オマエもあいつの知り合いかよ、と、三途がここで突っ込むことはなかった。
「待て」
イザナの声が鋭く飛んだので。
ちなみに、三途に対してではない……灰谷兄弟二人とも、揃って、先程の位置から半歩動いていた。
紫が兄弟をひたと見据えていたが、続いて三途に据えられる。
「三途、伝言返信、復唱」
「ッス」
「抗争は一旦延期、日程は保留。襲撃はどっちも俺たちは把握してない。向かうなら最低三体はこっちに寄越せ、あとは好きにして良い。以上」
三途は同一の内容を千咒に伝えた。千咒は一通り素直に伝えてから『もしかしてハル兄……今トーマンにいねえの? てか天竺だったりすんの?』と尋ねた。
三途は無言で通話を切った。
若狭と慶三に加えてトーマントップ2が現場に到着するならば、もはや無事は確約されたも同然だ。連絡事項は伝え合った以上、通話を繋げている理由がない。
答えるのが面倒だったとは断じて認めない。
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-Doe(プロフ) - kaluさん» 読んでくださりありがとうございました。しばらく更新が滞っておりますが、もう少し経ったら最後の話を書き始めるため、もしよければそちらも覗いてください。 (1月29日 18時) (レス) id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
kalu(プロフ) - 物凄く丁寧且つ緻密に書かれていて作品愛を感じました...。伏線も小ネタもすごい...。彼の言い回しや思考回路、他者との掛け合いなどが癖になり一気に読み進めてしまいました。とりあえずフクブくんには一発入れたいですね。素敵な作品をありがとうございます。 (1月3日 2時) (レス) @page50 id: 265da4aaa7 (このIDを非表示/違反報告)
-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» ありがとうございます。たぶんまた更新が若干滞りますので気長にお待ち下さい。 (12月16日 21時) (レス) id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 平和な未来が来て終わっちゃうのかとハラハラしてましたが、新たな展開にワクワクドキドキです✨いつも楽しく読ませてもらってます。 (12月16日 19時) (レス) @page50 id: 7d841f830a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:-Doe | 作成日時:2023年12月13日 1時