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ページ32

そもそもの話を語ろう。

 蘭が読んだ通り、イザナは血縁関係に敏感だ。良好な兄弟関係に妙な表情を浮かべる。当然骨肉の争いにも過敏に反応する。贅沢者がよぐらいの気持ちになるし、バカデカイ舌打ちをかますだけで済めばまだいい方。
 例を挙げれば純丘Aとかひたすら気に食わない人種だ。いくら苦しかろうと家族を見捨てる人間は正気の沙汰じゃない。イザナは断言する。なおこのイザナの価値観は自他ともに適用されるので、イザナは己を血縁以外の理由でも兄失格だと思っている。

 彼の無自覚の後悔と自責は今話すことでもない。省略。

 家族を見捨てる人間は正気の沙汰じゃないが、兄貴を殺す弟も解釈違いだ。
 兄弟の有様は人それぞれであるのは自明。十人十色、人それぞれの解釈と可能性がある。しかしイザナはその点過激派なので、解釈違いは視界に入れたくないし捻じ曲げたいし捻じ曲げられないなら殺したくなる。人災以外の何物でもない。
 これがうっかり実現してしまった未来こそ、俗に言うフィリピンマイキー軸だ。

 脱線修正再起動。

 だからイザナは、殺す理由がないというのももちろんだが、価値観の不一致的な意味でも、最初から一蹴するつもりだった。
 自分に話をしに来た理由もどうでもよかった。情け容赦なく万次郎と競り合うところを見たからか。殺人に躊躇がないと知られたからか。なんだかんだ場地を助けてしまったのは事実なのでそこかもしれない。心当たりがありすぎる上にどの理由でも平等にどうでもいい。
 超絶適当に相槌を打っていたし、それにしてもよくわかんねえな稀咲コイツと思っていたし、なんなら途中から夕食に思いを馳せていた。鶴蝶にオムレツ要求しようかなとか考えていた。

 これが十一月八日のことだ。極悪の世代全員集合より、一週間は前の話である。

 イザナが宗旨変えをした理由は、日付的にも同日、なんなら柴大寿殺害依頼を持ちかけられたわずか十数分後にある。

「ねえ、さっき八戒といたでしょ」
「ハ? 誰オマエ」

 先程までの密談の記憶をダストシュート決めようとしていたイザナは、このように声をかけられた。無断路駐していたバイクのエンジンをかけたタイミングでもあった。

「柴柚葉。八戒の姉」

 反射的にガンつけたイザナ(モード:空腹)に、しかし、イザナよりも年下と思しき少女――柚葉は顎を引いて、イザナを見据えていた。怯む様子もない。
 イザナは少し目を細めた。観察の意図をもって、柚葉を眺める。明らかに己を値踏みする視線。彼女は、気に留めない。

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-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» いつもありがとうございます。続編も更新ペースはまちまちだと思いますので思い出したときにでも閲覧いただければありがたいです。 (2023年1月2日 1時) (レス) id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 大量更新ありがとうございます‼️本日分、一気に読ませてもらいました‼️未来軸気になりすぎます💦続編も楽しみにしてます。 (2023年1月1日 18時) (レス) id: 2cf0cd68b6 (このIDを非表示/違反報告)
-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» ありがとうございます。自分のペースで更新していきますのでまたお暇なときにでも覗いていただければ幸いです。 (2022年11月17日 12時) (レス) @page2 id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 新章始まって嬉しいです✨楽しみに待ってました‼️ありがとうございます😆 (2022年11月17日 8時) (レス) @page2 id: 2cf0cd68b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:-Doe | 作成日時:2022年11月17日 3時

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