普遍と異変の分岐点 ページ29
「オマエら、なに隠してる?」
王将は冷たく睥睨する。咄嗟に竜胆は己の兄を盗み見た。
結局のところ、灰谷兄弟の立ち回りの決定権は蘭に集約される。もちろん竜胆とて、できる限り自分の意思を通すすべを心得ている。しかしそれも、最終的に蘭が否と言えば否であり、是と言えば是だからこそだ。かつての灰狂戦争も例外ではない。
口を滑らせて締められる程度で済めば……まだ、いい方だ。
蘭は、内心悪態をついた。どこぞの腐れ縁のせいでなにかとややこしい。本人に毒づいても困惑されるだけだろうが。Aは本当に僅差で、弟に手をかけそうになったイザナを見ていない。
そもそもだ。
それよりも今尋ねられることはある。
「大将、俺ら、最初っからなんか疑われてたわけ?」
イザナ個人に持ちかけられた話を、わざわざ人を集めた上で宣言した。反応を観察する前提の行動だ。
蘭の問いに、イザナは呆れた様子で首を振った。
「オマエら、俺が誰殺そうが興味ねえだろ。加えて順番なんざ気にするタマでもないくせして。疑われてたのかって、ならハナっから慣れねえことしてんじゃねえ」
「……あーね?」
順番、と述べられれば灰谷兄弟にも心当たりがひとつ。
かのハロウィンにおいて蘭は、イザナの殺意の標的を、一虎へ誘導し、稀咲から逸らした。
……下手人が誰であろうと、結果的に死ぬなら、イザナの目的自体は達成できる。殺した相手が二人だろうと三人だろうと隠蔽の手間に大した差はない。直接手を下したかった、とか、灰谷兄弟はわざわざ気遣わない。手段がどうあれ結果が出れば良しとする。
これでも彼らは数年来の付き合いだ。竜胆がイザナの事情をいくらか把握しているように、蘭がイザナの思考をある程度読めるように、イザナもまた、灰谷兄弟の性格の傾向を知っている。
ただの気まぐれの可能性は消去された。鶴蝶は、ハロウィンの抗争当時、状況を確認するために竜胆に電話を入れたらしい。そして竜胆は素直に答えた。
イザナが連れてきた下僕を蘭は気に入っている。イザナの意志で連れ出すなら例外にしても、巻き込めば実弟相手だろうと制裁が下る。
――それでも、イザナの凶行を止める必要があった。
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-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» いつもありがとうございます。続編も更新ペースはまちまちだと思いますので思い出したときにでも閲覧いただければありがたいです。 (2023年1月2日 1時) (レス) id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 大量更新ありがとうございます‼️本日分、一気に読ませてもらいました‼️未来軸気になりすぎます💦続編も楽しみにしてます。 (2023年1月1日 18時) (レス) id: 2cf0cd68b6 (このIDを非表示/違反報告)
-Doe(プロフ) - いにみっちょさん» ありがとうございます。自分のペースで更新していきますのでまたお暇なときにでも覗いていただければ幸いです。 (2022年11月17日 12時) (レス) @page2 id: e27fa4e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
いにみっちょ(プロフ) - 新章始まって嬉しいです✨楽しみに待ってました‼️ありがとうございます😆 (2022年11月17日 8時) (レス) @page2 id: 2cf0cd68b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:-Doe | 作成日時:2022年11月17日 3時