第104話 Memento ページ8
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三「本当に兄貴の形見やっちまって良かったのか?」
貴「うん、私が持つべきじゃないから」
それは先程鶴蝶に渡してきた。
警察から証拠品にはならないから妹の私にとご好意で頂いた物だったが、きっと鶴蝶の方が思うところがあるはずだ。
遺品というのは気持ちの整理の為に使えるから。
貴「それに私は他のピアスいらないし」
右耳についているタカとお揃いのピアスに触れる。
その様子を見て彼は、せっかく開けたなら色んなの付けろよと眉を下げて笑った。残念だがそのつもりは無い。
2人で笑いあったあと、ふと思う。
貴「…もうすぐエマともお別れか……」
三「……そうだな」
明日はエマの葬儀だ。現在エマの遺体は佐野家にあるがそれも明後日で小さな壺に早変わりしてしまう。
妹の姿を見れるのは明後日が最期。
少しだけ下を向いて思いふけっていると、タカが私の両頬を挟んで上を向かせる。
三「ふ、変なカオ」
貴「なッ、誰のせいだと、」
三「いいか、明日の葬式
Aはいるだけでいいんだよ」
貴「……」
三「どんな姿でもいい
ただいるだけで、それでいい」
貴「ん…」
三「どうしてもいれなくなったらオレに言え。な?」
貴「ウン、ありがと…」
三「よし」
わしゃわしゃと乱暴に私の頭を撫でられる。
少しだけ気が楽になった。
大丈夫、私は前に進めている。
時間が解決してくれる事もあると思う。
だがそれは同時に忘れてしまう事でもある。
寂しくないと言えば嘘になる。
だけど一緒に隣を歩いてくれる人がいるから。
貴「んー!もうひと踏ん張りだ!」
三「あんま無理すんなよ」
貴「うん、もう無理はしないよ
タカがいるからね」
三「そりゃ何よりだワ」
タカは目敏いので私の表情を見てすぐ察知するのだ。
いわゆるストッパーの役目を担ってくれている。
大切な人を失う度に彼の存在は私の中で大きくなっていく。
私はタカがいるから頑張れる。
じゃあ、その大切な存在が消えてしまったら?
考えたくもないその状況を今1人の男が直面している。
エマの姉として彼に伝えたい事がたくさんあるのだ。
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てる。 - 初コメ失礼しました!最初は恋愛系かな??と思っていて読んでいたらバリバリの感動系で深夜に声を上げて泣いてしまいました(T ^ T) (2023年4月11日 0時) (レス) @page3 id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 更新楽しみに待ってます。泣 (2022年11月20日 22時) (レス) @page31 id: e007552609 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年11月16日 12時) (レス) @page31 id: 9534e4617e (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - この小説大好きですっ!!もうめちゃくちゃ感動できます!!更新楽しみにしてまーす! (2022年5月25日 19時) (レス) @page31 id: 8d5c2ab10a (このIDを非表示/違反報告)
no_(プロフ) - この作品がとても大好きです。更新されるまで待ってます。 (2022年5月15日 17時) (レス) id: c80cd65ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年9月25日 18時