第114話 Future ページ18
*
エマの遺品整理も終盤が見えてきた。
このまま終えてしまうのもなんだか寂しい気がしてしまって、疲れてもいないのに休憩しようと何かと理由をつけて今は自分の部屋で机と向き合っている。
机の上に置かれてあるのは封筒と便箋。
貴「12年後の自分へ、か…」
八戒の提案により東京卍會解散記念として武蔵神社に埋めるタイムカプセルの中に入れるのは、12年後の自分への手紙と思い入れのある物。
手紙に書く内容も何も決まっていない。片手にペンを持て余し、クルクルと回転させながら時間が無駄にすぎてゆく。
目を閉じれば濃く残った記憶が思い出される。
貴「ほんと色々あったよなぁ……」
だからこそもう誰もかけずに、みんなが生きていてさえくれればそれでいい。欲を言えばみんなが笑い合える幸せな未来がいい。
パーちんと一虎が出所したらおかえりパーティやったり、ヒナとタケミっちは末永く幸せでいてほしい。そんな未来を想像して表情が緩むのを感じた。
貴「(私も、タカと───、)」
ふと考えたそれは今の私には恥ずかしいもので、顔の熱を冷ますようにブンブンと左右に振ると記憶の淵へ押し込まれていった。
だけど、そうなるといいな。
淡い期待を未来に込めてペンを便箋に走らせた。
数枚ほど書き直し、やっと完成した手紙は読み返すと今しか書けない素直な気持ちをしたためたものでやはりむず痒いものだが、タイムカプセルに入れるのはきっとこれぐらいがちょうど良いはずだ。
便箋を封筒に入れ、絶対に開けられないように封を糊で閉じる。これは私しか見ない。見させない。
貴「思い出の品はどうしようかな…」
最初に思いつくのはタカから貰ったピアスだがそれは今後も身に着けていたいし、無論指輪も同様だ。
腕を組んで唸りながら思い浮かぶのは物理的なものではなくエマの、万次郎の、タカのみんなの笑顔だった。それならそうだと物を埋めるのはやめにしようと1人納得した。
きっと、未来は明るいものだと。
なんの根拠も無いがこの時はそう思っていた。
*
第115話 Ten years→←第113話 Home video
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てる。 - 初コメ失礼しました！最初は恋愛系かな？？と思っていて読んでいたらバリバリの感動系で深夜に声を上げて泣いてしまいました(T ^ T) (2023年4月11日 0時) (
レス) @page3 id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 更新楽しみに待ってます。泣 (2022年11月20日 22時) (レス) @page31 id: e007552609 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年11月16日 12時) (レス) @page31 id: 9534e4617e (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - この小説大好きですっ！！もうめちゃくちゃ感動できます！！更新楽しみにしてまーす！ (2022年5月25日 19時) (レス) @page31 id: 8d5c2ab10a (このIDを非表示/違反報告)
no_(プロフ) - この作品がとても大好きです。更新されるまで待ってます。 (2022年5月15日 17時) (レス) id: c80cd65ba9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あたた | 作成日時：2021年9月25日 18時
