第97話 Izana ページ1
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鶴蝶の右肩に銃弾が食い込む。
彼は両膝をついて口から血を吐いた。
イザナと鶴蝶の奥に見えるのは銃を構えた稀咲。恐らく先程イザナの手から払い落とした銃が稀咲の足元に滑ってしまったのだろう。
イザナでも引き金を引かなかったのに奴は軽々とそれを引いた。
それ程までに達成したい目的とはなんだ。
稀「何度も何度もくりかえし…
考えぬいた計画も花垣につぶされた
マイキーが使えなくなった今
オレはイザナを媒体にするしかなくなった
鶴蝶、テメェはジャマなんだよ」
それを聞いた鶴蝶は稀咲へと走り出す。
錯乱しているのかイザナを守ろうとしているのか。
そんな事は正直どうでも良かった。
ただ、彼は死なせてはいけないと。
そう思った。
私が走り出そうとしたその時2つの手に止められた。
後ろから万次郎が私の手を掴み、イザナが私の前で腕を伸ばす。
そしてイザナはそのまま鶴蝶の元へ走って行く。
貴「イザナッ!!」
時間なんて止められるはずもなく最悪の事態が目の前で起こる。
銃声が3発鳴り響く。
それは全てイザナの身体に撃ち込まれた。
貴「───ッ、お兄ちゃん!!!」
だめ。やめて。いやだ。なんで。
言いたい事、聞きたいことは山ほどあるのに。
イザナに駆け寄って救急セットを広げる。
ガーゼを傷口に当ててやるとすぐに真っ赤に染まる。10秒も経たないうちにイザナの下には真っ赤な血溜まりができていた。
頭では理解出来ていた。
これはもう助からない、と。
兄も自分の死期を悟ったのか私と万次郎に話しておきたい事があると話し始めた。
イ「───天竺の負けだ」
鶴「ふざけんなっ、オレが言うのはいい
オマエがそれを言うな!」
イ「ハハ、なんだよソレ
……ワケわかんねぇ野郎だな…」
鶴「イザナ…なんでオレなんかかばった!?
オマエは王だ
オレをゴミのように捨ててでも
オマエの時代を創らなきゃいけないんだ!!
それが王だろ!?イザナぁ!」
イ「………"オレら"の時代…だよ」
鶴「え?」
イ「ゴメンな、鶴蝶
…でもオレにはオマエしかいないから」
イザナは笑顔でそう言う。
悲しみからか。怒りからなのか。
全身の力が両手に入るのを感じた。
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てる。 - 初コメ失礼しました!最初は恋愛系かな??と思っていて読んでいたらバリバリの感動系で深夜に声を上げて泣いてしまいました(T ^ T) (2023年4月11日 0時) (レス) @page3 id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 更新楽しみに待ってます。泣 (2022年11月20日 22時) (レス) @page31 id: e007552609 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年11月16日 12時) (レス) @page31 id: 9534e4617e (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - この小説大好きですっ!!もうめちゃくちゃ感動できます!!更新楽しみにしてまーす! (2022年5月25日 19時) (レス) @page31 id: 8d5c2ab10a (このIDを非表示/違反報告)
no_(プロフ) - この作品がとても大好きです。更新されるまで待ってます。 (2022年5月15日 17時) (レス) id: c80cd65ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年9月25日 18時