第91話 True ページ44
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力が入っていない兄の手を優しく握りながら待合室で待機していると、ドラケンも中に入って来た。誰からも話そうとはせずただ時間だけが過ぎていく。
どのくらい時間が過ぎたのかは分からない。この長い沈黙をやぶったのは思いもよらないヒナちゃんだった。
緊張している顔つきで万次郎と私の前に立つ。
ヒ「あの…少し…
話してもいいですか?」
貴「…うん、いいよ」
万次郎の代わりに私がそう答えればヒナちゃんは一瞬安心したような顔をしたあと、また顔つきが強ばった。よく見ると腕も震えている。
万次郎はずっと下を向いたままだ。
ヒ「タケミチ君は…
エマちゃんを救えたハズだって思ってます」
ド「!! おい!!
テメェ今そんな話すんじゃねぇよ!!正気か!!?」
貴「ドラケン!」
ドラケンの大きな声にヒナちゃんの身体が震える。
確かに普段礼儀正しいヒナちゃんがそんなこと言うとは思わず驚いたが、きっと身体を震わせながらも私たちに言いたい事があるのだろう。
貴「なんの意味も無くそんな話しないでしょ
あと病院だから大きな声出さないで」
ド「〜〜〜ッ、クソッ!」
貴「ごめんね、ヒナちゃん
話続けて?」
安心させるように笑顔で告げるとヒナちゃんは涙を浮かべながらこくりと頷く。真剣な顔つきでまた話し続ける。
ヒ「エマちゃんだけじゃない
タケミチ君は救わなきゃって思ってる人が沢山いる」
ド「! だから何を…!!」
ヒ「私死ぬんです」
貴「?」
ド「!!?」
ヒ「───12年後死ぬんです」
漠然とヒナちゃんはそう言った。
どういう事?未来の事なんて分からないじゃん。
なんでそんな確信を持って言えるの?
ヒ「タケミチ君それを止める為に未来から来たんです
ウソみたいな話ですよね…でも本当です…
彼…必死だから
みんなの未来を知ってる
みんなを助けたいと思ってる」
信じられない話だけど何故かすぐに腑に落ちた。
それはきっとタケミっちの姿を見てきたから。けど私なんかより万次郎の方がそれをより近くでたくさんの場面で見てきたはずだ。
万次郎の手に力が入る。
ヒ「なのに私は彼の為に何もできない……」
何かに祈るように両手を組んで握り締め、溢れんばかりの涙を流すヒナちゃん。
何もできないなんて絶対にそんなことない。
タケミっちの原動力は間違いなく彼女だ。
それを伝えるようにヒナちゃんを抱き締めた。
貴「ありがとう、ヒナ」
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わびすけ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます。ノンストップでの拝読お疲れ様でございました!お話が本誌に近付いているということもあり、更新が遅くなっておりますが気を長くしてお待ちいただけますと嬉しいです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 通りすがりの佐藤さん» コメントありがとうございます。そのように仰っていただけてとても嬉しいです!これからも今作を温かく見守ってくださいますと幸いです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - ううううう最高すぎます…今日この作品見つけて、面白すぎてノンストップで最新話まで見ました!!めっちゃ面白くて最高です!!!更新楽しみにしております!! (2021年9月20日 22時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの佐藤 - ぬぐぉぉ…なんだこれ最高かよ…この作品にあえてホント良かったわ〜…これからも頑張ってくださいね〜! (2021年9月20日 17時) (レス) id: fafdf4bfd0 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» コメントありがとうございます。台詞に気付いて下さって嬉しいです!イザナと何かしらの繋がりがあったらいいな…と思い組み込みました(^ ^)これからもどうぞ今作を暖かく見守ってくださると嬉しいです。 (2021年9月5日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年8月3日 7時