第87話 Ema ページ40
*
2月22日、朝日が昇った。
救急車に同乗したあとしばらく病院にいたが、三ツ谷のお母さんと眠そうなルナマナちゃんが来たので挨拶をして一旦家に帰った。
万次郎とエマは真一郎のお墓参りに行くらしい。一緒に行くか誘われたが、やはり三ツ谷が心配で傍にいたかったので断った。
"万「三ツ谷目ぇ覚ましたら安静にさせといて
八戒にも頼んだけどアイツ三ツ谷に弱ぇから」"
万次郎にもそう頼まれたことだし。
よし、目が覚めて抗争に参加しようとするものなら殴ってでも止めよう。スマイリーも同様に止めてやる。
八「なぁ〜！柚葉！A〜！
タカちゃんいつ起きんの？まだ？」
柚「医者が大丈夫って言ってんだから
そのうち目覚ますでしょ」
貴「三ツ谷なら大丈夫だよ
信じて待とう？」
八「…うん……」
八戒がオロオロしている姿は可愛らしい。
本当に三ツ谷の事好きなんだなぁ。
剥いたリンゴを皿に移しひと切れ食べる。私の隣にいる柚葉もひと切れ食べ、美味しいと頬をほころばせた。
貴「ホラ、八戒もリンゴ食べなよ」
皿ごと渡すとあっと言う間にリンゴを平らげる八戒。
どうやら三ツ谷が心配すぎて昨日の夜から何も食べていないと、困り果てたように眉を寄せながら柚葉が説明してくれた。
貴「リンゴもっと食べる？」
八「……食う…」
柚「みかんもあるよ」
八「ありがと」
急に大人しくなった八戒の様子につい笑いがこぼれる。
お見舞い用に買ってきたフルーツはもれなく八戒の朝ご飯になった。食べ盛りだからお腹減るよねぇ。
昼頃になると八戒と柚葉は1度家に帰ると言って退出し、私は椅子に腰をかけ持ってきていた小説を読み進めることにした。
集中すると周りが見えなくなるのはいつもの悪い癖で、マナーモードにしていた携帯の振動で意識を引き戻される。
外を見るともう夕暮れ時だった。
携帯の画面に表示されているのは兄の名前。
病室の中で電話に出るわけにもいかず外に出てから応答ボタンを押す。
貴「ごめん、遅くなって
万次郎どうしたの？」
万「………A、ごめん」
蚊の鳴くような声でそう聞こえた。
その声色はあの日を思い出させるもので。
ただひたすらに嫌な予感がした。
何に対しての謝罪なのか。
それは万次郎の次の言葉で理解出来た。
万「───…エマが、」
─────エマが、死んだ
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わびすけ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます。ノンストップでの拝読お疲れ様でございました！お話が本誌に近付いているということもあり、更新が遅くなっておりますが気を長くしてお待ちいただけますと嬉しいです。 (2021年9月21日 11時) (
レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 通りすがりの佐藤さん» コメントありがとうございます。そのように仰っていただけてとても嬉しいです！これからも今作を温かく見守ってくださいますと幸いです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - ううううう最高すぎます…今日この作品見つけて、面白すぎてノンストップで最新話まで見ました！！めっちゃ面白くて最高です！！！更新楽しみにしております！！ (2021年9月20日 22時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの佐藤 - ぬぐぉぉ…なんだこれ最高かよ…この作品にあえてホント良かったわ〜…これからも頑張ってくださいね〜！ (2021年9月20日 17時) (レス) id: fafdf4bfd0 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» コメントありがとうございます。台詞に気付いて下さって嬉しいです！イザナと何かしらの繋がりがあったらいいな…と思い組み込みました(^ ^)これからもどうぞ今作を暖かく見守ってくださると嬉しいです。 (2021年9月5日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あたた | 作成日時：2021年8月3日 7時
