【東卍】私の幸せ 弐【三ツ谷隆】

第79話 Crepe ページ32

*





今日は三ツ谷とデートだ。

だからと言って恋人になる前も一緒にお出掛けはしていたので、する事はあまり変わらないがデートはデートだ。



貴「え、大寿君とクレープ食べたの？
しかも原宿で？」


三「そのあとさ服にクリームついちまって
大寿君ガチ切れしてんの」


貴「え、大寿クン可愛い…」


三「ぶはっ、最高に面白かった…！」



思い出し笑いなのかツボにハマったように爆笑する三ツ谷。

男2人で原宿。しかもクレープ食べてるのって中々シュールな光景だ。けど三ツ谷が楽しそうなら何より。



貴「話聞いてたらクレープ食べたくなってきた…」


三「けどA
あんま甘いモン得意じゃねーだろ」


貴「それは半分コってことで！」


三「わかったわかった」


貴「あ、お金はいいよ
私食べたいだけだから」



財布からお金を取り出そうとしている三ツ谷を止め、受け取らないように逃げるようにその場を離れる。

クレープ屋は通って来た道にあったのを思い出す。
買うのは定番のバナナチョコかなー。


並んでいたので少しだけ時間がかかったが片手にクレープを持って三ツ谷の元へ向かう。

すると前方から不良界隈で有名な兄弟が歩いてくるのが見えた。やばいと咄嗟に道の脇に逸れ姿を隠し顔を見られまいと下を向く。



竜「兄ちゃん、道行き過ぎ」


蘭「あン？早く言えよぉ、竜胆〜」



何故こんな所に六本木を仕切る灰谷兄弟が？

しかも私が行きたい方向もそっちなのに…
ちらりと2人の後ろ姿を覗き見ると特攻服を着ていた。



貴「(天竺…！？)」



特攻服に書かれた大きな文字。

は？最近できたばかりのチームに灰谷兄弟？
どういうこと、なんの繋がりがあって？



"竜「兄ちゃん、道行き過ぎ」"


貴「！」



もしかして天竺、東卍狙ってる…？
ってことは灰谷兄弟の狙いは三ツ谷！？

読みが外れていることを願いながら三ツ谷と別れた場所に走って向かうと、そこには倒れている三ツ谷の姿があった。



貴「───ッ！三ツ谷！！」


三「……A…？」



バッグの中から救急セットを取り出し、近くの自販機で買った水でハンカチを濡らし血を拭き取る。

また頭から流血している三ツ谷を見て心が痛む。
落ちているコンクリートブロックで殴られたのだろう。



貴「ごめん、三ツ谷…」


三「Aが謝る事じゃねぇよ…
あのメンツじゃ逆にいなくて良かったわ…っ、」





*

第80話 Vertigo→←第78話 Family

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す