第74話 Weak voice ページ27
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貴「三ツ谷って刺青入れてたんだね」
三「まぁな、小五ん時に」
頭の傷を手当てしている時に見つけた右のこめかみから後頭部にかけて長めの刺青。
髪の毛で覆われててあまり見えなかったが、いつも見慣れているそれはなんなのかすぐに分かった。
貴「あれってドラケンと一緒?」
三「お、よくわかったな」
貴「なんで髪の毛で隠してるの?」
三「カルビ丼と交換したんだよ
……懐かしいなー」
貴「カルビ丼?」
話が全く読めないがドラケンと三ツ谷、2人にとって大切な思い出なのだろう。彼の声色の優しさからそれが伝わってくる。
話を聞くにドラケンは三ツ谷と自分のコンビを"双龍"というらしい。そして三ツ谷はドラケンの背中を追いかけてきた、と。
貴「……ドラケンだけずる…」
三「は?」
貴「お揃いの刺青とかずるいじゃん……」
三「……オマエなぁ…」
私も三ツ谷とピアスはお揃いだが、身体に直接刻まれている刺青とは大きな差を感じてしまった。
しかも"双龍"だって。
なにそれかっこいい。ずるい。
私の知らない三ツ谷を知っているドラケン相手につい妬いてしまう。分かるよ、ドラケンかっこいいからその気持ち分かるんだけど。
なんとも言えない感情をぶつけるように三ツ谷の背中にグリグリと頭を押し付けると、彼は大きめのため息を吐いて言う。
三「そういうコト他の奴にすんなよ」
貴「しません〜〜〜!」
万次郎とエマは私が支えなきゃ。
真一郎が死んだ時そう思った。
万次郎の前では泣きたくはなかった。
…だって万次郎の方が辛いはずだから。
エマの前では泣きたくはなかった。
…だってお姉ちゃんだから。
"三「あんま1人で抱えんな」"
それをひっくり返したのが三ツ谷だった。
張り詰めていた糸が解けていく感覚。
私も辛い時、苦しい時、悔しい時、誰かの前で泣いていいのだと許された気がした。
好きだからというのもあるかもしれない。
けど私が素直でいれる場所は間違いなく三ツ谷の隣だ。
その大切な場所が今日消えてしまうところだった。
真一郎も場地も。
みんなある日突然いなくなってしまう。
貴「……三ツ谷までいなくならないでね…」
三「……」
久しぶりに吐いた弱音だった。
小さく呟いたそれは三ツ谷には聞こえたのだろうか彼は急にバイクを方向転換し、来た道を戻り始めた。
三「…気ィ変わった
少し寄り道するけどいーか?」
貴「? うん、いいけど…?」
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わびすけ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます。ノンストップでの拝読お疲れ様でございました!お話が本誌に近付いているということもあり、更新が遅くなっておりますが気を長くしてお待ちいただけますと嬉しいです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 通りすがりの佐藤さん» コメントありがとうございます。そのように仰っていただけてとても嬉しいです!これからも今作を温かく見守ってくださいますと幸いです。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - ううううう最高すぎます…今日この作品見つけて、面白すぎてノンストップで最新話まで見ました!!めっちゃ面白くて最高です!!!更新楽しみにしております!! (2021年9月20日 22時) (レス) id: a52571fa0a (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの佐藤 - ぬぐぉぉ…なんだこれ最高かよ…この作品にあえてホント良かったわ〜…これからも頑張ってくださいね〜! (2021年9月20日 17時) (レス) id: fafdf4bfd0 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» コメントありがとうございます。台詞に気付いて下さって嬉しいです!イザナと何かしらの繋がりがあったらいいな…と思い組み込みました(^ ^)これからもどうぞ今作を暖かく見守ってくださると嬉しいです。 (2021年9月5日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年8月3日 7時