【東卍】私の幸せ 弐【三ツ谷隆】

第66話 All right ページ19

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平和な日々というのは過ぎ去るのが早いもので。
次に東卍は黒龍と揉めるかもしれないらしい。なんでも壱番隊隊長であるタケミっちが黒龍の総長にボコられたとか。


私が小学六年生の頃絡んできたのが黒龍であり、9代目総長は東卍が創設当初に潰した。

だが今回の黒龍は10代目。話が違う。
歴代最狂最悪、柴大寿。
奴は暴力を売る程の力の持ち主。



貴「まさか八戒のお兄ちゃんだったとはね〜」


万「なー。どうすっかな
あ、A醤油取って」


貴「ハイ」


エ「え！？ヤバいんじゃないの！？
なんでそんな呑気にしてんの！？」



朝ごはんを食べながら物騒な話をする。

ヤバいのは百も承知。けど私に何が出来ると言われたら万次郎の話を聞いてあげる事ぐらいだ。



貴「弐番隊の問題でしょ？
三ツ谷に任せたら？」


エ「A冷たくない？
未来の彼氏だよ？」


貴「ヤメテ」


万「だよなぁ
やっぱ三ツ谷に任せるか〜」



八戒は女の子が苦手だからあまり話した事もない。

私が話しかけるだけでフリーズするんだよ？
最近は頷くぐらいのジェスチャーはしてくれるようになったが、やはり意思疎通は取りにくい。


だが三ツ谷は八戒と腐れ縁だ。

きっと私たちより八戒の事を知っているはずだから、余計に手をだすより見守った方が良いと判断しただけだ。



万「髪結ってー」


貴「エマ」


エ「Aでしょ」


ド「マイキー！そろそろ行くぞ！」



少し早めの夕飯。
まだ食べ終えていないので席から離れたくなかったが、ドラケンの声を聞いてエマが反応する。話して来なと言うとエマは嬉しそうに玄関へ向かって行った。

洗面台から櫛を取って来て万次郎の金髪を梳かす。
……万次郎、髪の毛伸びたなぁ。



万「A」


貴「んー？どしたの？」


万「…オレさどこ目指してんのか
わかんなくなっちまった」



髪を結っているので顔は見えない。
けど、自傷するように笑っている気がする。

髪を結う手を止めずそのまま話す。



貴「……大切なのは"何が正解か"じゃなくて
"何を選ぶか"だよ」


万「……」


貴「考えすぎて疲れちゃったのなら休憩しよう？
何事も近付きすぎると見えにくくなるよね」



ヘアセットも終わりどら焼きとお茶を万次郎の前に出す。

万次郎は少し綻んだ笑みを浮かべて食べ始めた。



貴「それは万次郎が向き合った証拠だから」

───きっと、大丈夫。





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