第29話 Dam ページ31
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ルナマナちゃんと遊び、結局夕飯までご馳走になった。
今は2人を寝かしつけ、食器の洗い物を手伝っている。
三「で?なんかあったろ?」
貴「なんにもないよ」
三「マイキー」
貴「分かってるなら聞かないで…」
思い出したら腹が立ってきた。
食器に当たるわけにはいかないので落ち着かせるように大きく深呼吸をしてから話を始めた。
貴「……2人が喧嘩してさ
どうにかして仲裁しようと万次郎と話したの」
三「おー」
貴「けど白熱しちゃって
道場で殴り合いの喧嘩になって…」
三「は!?ケガは!?」
貴「少し痣できてるだけ」
万次郎の蹴りを受け止めた腕に大きな痣。
それを三ツ谷に見せると何が言いたげに一度口を開いたが、口を噤んで悲しい顔をした。
洗い物を中断し、台所から引っ張り出される。
寝ている姉妹を起こさないように静かに入り
カーテンの仕切りを抜るとそこは三ツ谷の部屋だ。
座布団に座るように指示されたので大人しく座る。三ツ谷は押し入れの中から救急箱を取り出し私の前に座る。
三「ホラ、」
貴「なに?」
三「手ェだせ」
三ツ谷が不機嫌そうに言うので少し面をくらった。
言われるがまま手を差し出すと着ていた袖を折られ痣の上に優しく湿布を貼られた。独特な匂いのそれはヒンヤリと冷たくて、少し熱を持った痣の痛みが治まった気がする。
三「他は?」
貴「ナイデス」
三「隠してねぇな?」
いや、不機嫌そうじゃなくて確実に不機嫌!!
いつも温和な三ツ谷がめっちゃ怒ってる!なに!?
何故彼が怒っているか分からずとりあえず頷いた。
一緒に台所へ戻り洗い物を再開する。
三「……もっと自分のこと大切にしてくれ」
貴「?」
三「Aはいつも自分のこと二の次だろ?」
貴「…そうかな?」
三「兄貴が死んだ時もエマとマイキー
ましてや俺らの心配までしてた」
三ツ谷から最後の皿を受け取り、布巾で拭く。
すると急に頭が重くなった。
顔をあげると三ツ谷の腕が私に伸びているのが見える。
彼に撫でられているのだと理解するのに数秒かかった。
三「あんま1人で抱えんな」
その言葉は私の心にじんわりと響いて全身に暖かく伝染し、気付いたら涙が頬を伝っていた。
三ツ谷は目を見開かせたあと微笑んで私を腕の中に閉じ込めてくれた。
今まで我慢してた感情が蓋が外れたように溢れ出してしまって、幼い子供のように泣いてしまった。
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わびすけ(プロフ) - あかさたなはまやらわさん» 原作、場地くんファンの皆様にご不快な思いをさせていたことになりますのでご指摘とても助かります!ありがとうございます!今後とも今作をよろしくお願いします。 (2021年10月31日 13時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あかさたなはまやらわ - この作品最高です!で,気づいちゃったのですが…2話の場地くんを紹介するところで場地が馬地になってました,,細かくてすみません (2021年10月30日 22時) (レス) @page4 id: 5ef1823fc7 (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 漆Pさん» 初めまして。そのように仰っていただけて嬉しいです!三ツ谷の登場回これから増やしていく予定ですので楽しんでいただければ幸いです。これからもどうぞ今作をよろしくお願いします! (2021年7月28日 8時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 初めまして!小説拝見させてもらってます!毎回三ツ谷がカッコよすぎて読んでるこっちもドキドキしてます(*´v`*)こんな楽しいお話書いてくださりありがとうございます!無理なく更新がんばってください! (2021年7月27日 15時) (レス) id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
わびすけ(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» コメントありがとうございます。ご期待に添えるように頑張ります! (2021年7月16日 14時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2021年7月10日 21時