せめて晴れた夜は

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「寒くない？大丈夫？」









消灯時間を過ぎた22時、車椅子でテラスへ行く









モコモコのパジャマにパーカー、ブランケットで完全装備なのにそれでもしげ先生はさっきから何回も寒くないかと心配してくる









「お、意外と見えるね」









あれからまっすーも誘って、3人でテラスへと出る









「オリオン座の周りに見えるんだろ？どれだ〜…？」









「あ、あれは？」









「あれは違くない？まっすーオリオン座知ってる？」









「さすがに知ってるわ、バカにすんなよ〜」









まっすーとしげ先生のやり取りを聞きながら、そっとプレイルームから借りてきた星の本を開く









季節ごとに見える星の名前や、観測位置が書かれていて、ペラペラとページをめくっていると、









-7月7日 七夕 と書かれているページが目に入る









"天の川ってさ、肉眼で見えねえのかな"









あの日、祐也とした会話を思い出して、









ふと隣を見ても、もう祐也の姿はなくて、









祐也ともう二度と会えない、という現実を受け止められない









"また、冬に2人でオリオン座見ようね"









もう二度と叶わなくなってしまった約束、









"A〜〜やっほー！"









"まっすーには内緒だからね、絶対言うなよ！バレたらまーた怒られる！"









"はははっ！やっべー超面白い！けーちゃん引っかかってやんの！"









祐也の笑った顔、怒った顔、辛そうな顔、









全部が忘れられなくて、









ついこの前まで毎日一緒にいたのに









『……っ、祐也……』









星なんかどうでもよくて、ただ祐也と一緒にいたくて、









だけどもう、祐也の名前を呼んでも、









"なにー？どした？"









って、返事なんか返ってこないんだ

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