せめて晴れた夜は

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その日の夜中









なんとなく息苦しい気がして、目を覚ます









やばい、発作だ、と自分で気づいた時には既にもう遅くて、









『げほっげほ、っごほ、…ひゅー…ごほっ』








震える手で、なんとかナースコールを押して、









ナースコールから誰かが何かを言ってるのは聞こえるけど、それに返事をする余裕もないし、聞き取る余裕もなくて、







酸素不足でどんどんぼーっとする頭の中にはただただ苦しいという思いしかなかった









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(増田サイド)









医局でうとうとしていたら、突然PHSが鳴って、寝ぼけながら出たら小山からで、「まっすー！Aが発作起こしてる！」なんて言うから眠気も一気に吹っ飛んで、「モニターと吸入、拡張剤準備しといて」とだけ伝えて慌てて病棟に向かった









『どんな感じ？』









はぁはぁと息を切らして病室に向かうと、身体を丸めて咳き込んでいるAと、Aに繋がってるモニターから酸素不足を知らせる音がピーピーとうるさく鳴っていた









「サチュレーション90で、脈拍120」








『酸素3リットル入れて』









聴診器で聞かなくてもわかるくらいの喘鳴を鳴らしていて、久しぶりにこんな大きな発作を起こしている









『A、わかる？聞こえたら手握って？』









と声を掛けると微かに指先が動いて、意識があることに少し安堵する









『吸入しようね、ゆっくり息吸って…』









「げほっけほ……ごほごほっ…ごほっ」









『あんまり吸えてないね……拡張剤とステロイド、全開で落としてくれる？』









経口投与は無理だと判断して、点滴を全開にして落としているんだけどあんまり全身状態は良くなくて、









『しげ、いつ帰ってくるんだっけ？』









「明日の夕方って言ってた気がする…」









『夕方かぁ……』









この様子だとまだ発作を繰り返しそうだし、ICUに移すことも視野に入れて、とりあえず現状をしげに報告するために病室を出た

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