お仕事の両立は、大変だけど充実してます！《3》 (ページ14)

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◇そろそろ頃合◇ ページ14

「なぁ志季、どういうこと？」

明らかに不機嫌な翼が、いつもより低い声で俺にそう聞いてきた

「主語がない。よってノーコメントだ」

「っ…分かってんだろ？Aのことだよ！」

「翼、落ち着いて;;」

宥めようとする里津花の手を振り払う

「3人ともなんでそんなに落ち着いてられるの！？」

「そう見えるだけで、俺たちだって((」

「俺の誕生日にケーキ届けてくれてから音信不通だよ？仕事にも行ってないんだよ？部屋に籠りっぱなしだよ？今日でもう5日だよ？」

大を遮りだんだん目に涙を溜めていく翼に、心の中で小さく溜め息をついた

俺も、真美さんから“出陣の休養”と聞いただけで詳しい事情は知らない

正直、めちゃくちゃ心配だ

外部には「スケジュールが───」とか「体調が───」ということで誤魔化しているが、もはやコイツらには通用しない…

すると、俺のスマホが鳴った

夜…？

「もしもし、どうした？」

『志季さん、すみません…あの、陽が勝手に部屋に入っちゃって…言い逃れが出来ない状況になってしまって…』

ついに、か。
まあ、いずれこうなることは予想してたがな

「そうか。こちらも翼がうるさくてな…そろそろ頃合らしい」

「うるさいってなん…いでっ」

翼の頭にチョップを入れた

「じゃあ、そっちの寮に全員集合させる。マネージャーも含めてだ」

『…いいんですかね？』

「仕方ない。出陣の回数も増えてるんだ。どのみち、今後も誤魔化し続けるのは難しいだろ」

『そう、ですね…分かりました』

電話を切ると、翼が俺の肩をガッと掴んできた

「出陣ってなに…？何を誤魔化してたの…？」

声が震えている

「それをこれから話す。全員、グラビプロセラ寮に集合だ」

志季もうさすがに誤魔化すのは限界だ。これから審神者についてみんなに話す。拒否権はなし。

寮に着いた頃、ようやく返信が来た

A待って、今行く!

志季来なくていい。無理はするな。

Aたぶん大丈夫だから!

「たぶんって…はぁ…」

溜め息をつきながらミーティングルームに入る

「夜、Aも来るらしい。一応迎えに行ってやってくれ」

「は、はい！」

「迎えにって…どこにですか？」

部屋を出て行く夜を見て首を傾げる駆

「Aの部屋だ」

「でも、生活感が全くなくて誰も居ませんでしたよ」

「陽、Aはそこから別世界で暮らしてるんだ」

「「「…は？」」」