【呪術廻戦】 お前は推しじゃないんだよ！！ 【五条悟】

推し1 ページ2

『‥‥どこ、ここ』


気がつくとそこは駅でも病院でもなく


見たことのない人気のない薄暗い住宅地だった


‥‥住宅地なのに人気のないって
言葉の意味として可笑しいと思うが


本当に人がいないのだ不気味なほどに


『私‥‥確か押されて‥それで‥』


‥‥轢かれたはず‥だよ、な？


意味のわからない状況に全く理解が追いつかず


とにかく辺りを
キョロキョロと見渡すばかりだった


‥‥誰か探しに行こうか


このままこうしていても何もわからない


そう思いあるき出そうとすると
背後から「すみません」と声をかけられた


どうやらただ普通に
ひとどうりが少なかっただけのようだ


そのことに安心し振り返ると


私は言葉を失った


目の前には目のない口と耳だけの
手ばかりが異常に多い人とは思えぬ‥


いや、この世のものとは思えぬ
恐ろしい化け物が立っていた


逃げなくては


そう思うも体が全く動かない


それどころか声すら出ない


「メっくだちぃ」


化け物は拙い言葉を口にすると
気色の悪い手をこちらへと伸ばした


『ひぃああ゛ぁああぁあああ？！？！』


そこでやっと声が出た


そして体も震えはすれど動いた


今にも転びそうな足取りで必死に走った


恐怖のせいでうまく足に力が入らない私に対し
化け物はドンドンと距離を縮めてくる


「くだチぃ、くだちぃ」


『ひぃ？！』


不気味な声


不気味なイントネーション


姿が視界に入らなくても
背後から聞こえるだけで怖い


あれがなんなのか


どうしてこんなことろにいるのかわからない


たった一つわかることがあるとすれば


゛あれ゛に追いつかれたら死ぬ


『はぁ‥はぁっ‥』


だめっしんどい


つらい


止まりたい


捕まりたくない


死にたくない


そんな思いも虚しく化け物に
体を捕まれ拘束される


「あはっ目も、ラうっねっ」


耳元で囁かれ視界に化け物の醜い手がうつる


『いやっ、いやぁああっ！！！！！』


ぎゅっと固く目を瞑ると


「間に合ったー」という間抜けな声と共に
バチュッグチュッという
生肉を潰したような不快な音がなる


それと同時に拘束が解かれた


‥‥なっに？


恐る恐る目を開けると


そこには化け物だったものの残骸と


白髪の黒い眼帯をした
雰囲気が明らかにアホそうな男が立っていた


その男を見てやっと今の状況を理解した


‥‥あぁ


なるほど


どうやら私は地獄に来てしまったようだ

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