No.8【オーバーホールさんと夏祭り】中編 ページ9
「浴衣を着る必要はあるのか？」
オーバーホールさんは黒色ベースの浴衣を手に取りながら私に問いかけた。
「．．．うるさいです。良いじゃ無いですか。」
文句言いながらもちゃっかり浴衣を手に取ってる姿を見て、ついつい笑みがこぼれた。
「．．．迷うな〜。」
「じゃあ、コレにしろ。」
「かわいい。」
何でこの人こんなにセンス良いの？
オーバーホールさんが指を指した先には白色の生地に、淡い青の花が描かれた美しい浴衣。
「帯はこれで。」
上が紺色、下になればなるほど薄くなり白色となるそんな帯。
その上には白色で縁取られた桜の刺繍。
「有り難うございます。」
手渡されたそれを持って、オーバーホールさんと試着しに行った。
．．．あ、試着室は勿論別だよ！
「じゃーん。どうだ、似合うか！」
「馬子にも衣装が妥当だな。」
「うるさい。」
着終わった私は試着室を出ると、そこにはモデルと見間違うほど様になってる男が既にいた。
「．．．やっぱり黒って言うとこはぶれないんですね。」
「．．．変か？」
「いや、オーバーホールさん、身長高いしイケメンだから何着ても似合いますよ。」
「そうか。」
「．．．似合ってる。」
「っ！．．．有り難うございます。」
人に褒められるというのはお世辞だとしても嬉しいものだ。
「すみません。浴衣、着たまでも良いですか？」
「はい。着ていたお洋服の方は袋に入れますね。」
「有り難うございます。」
店員の人は、私たちの服を丁寧に畳み袋に入れた。
「お会計の方、ご一緒でよろしいでしょうか？」
「はい。」
「合計で＿＿万円です。」
お財布を鞄から出し、払おうと思ったとき
「いい。俺が出す。」
「でも．．．！」
「お前は俺におごられとけ。」
何かとてつもない罪悪感。
私のわがままで買う浴衣なのに。
「あとで、返します。」
「いい。」
店を出てからも、言い合いは続き
「本当に、いい。」
そう言って断られる。
．．．ここまで言う人をこれ以上否定するのもコレはコレで失礼だと思ったので
「じゃあ、次は私が何かします。」
そう言って話は終わった。
歩いてる道は先に進めば進むほど混み合ってきて
「暑いな。」
「そうですね。」
確かに暑かった。でも、これからのことを思うと楽しみでドキドキしてるのも事実だった。
「オーバーホールさん。」
「ん？なんだ。」
「私、一緒に来れて良かった！」
そういって思い切り笑ってやった。
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マリイ - 治崎廻大好き (2022年3月22日 0時) (携帯から) (
レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
瑞林(プロフ) - 待ってちっちゃいオバホの破壊力ぅううぅ((吐血 本編の方も全部読ませていただきました！言葉の使い方が凄くキレイで、とてもステキな作品でした。これからも楽しみにしてます！ (2018年11月18日 16時) (レス) id: 49334a0dfb (このIDを非表示/違反報告)
シーくん(プロフ) - お久しぶりです！夏祭り編、面白かったです！ありがとうございました！これからも更新頑張ってください。応援してます (2018年11月16日 19時) (レス) id: bc76b4c2fc (このIDを非表示/違反報告)
縫針 - Ｎｏ10の続きが読みたいです！ (2018年10月13日 23時) (レス) id: 59eafcd1a4 (このIDを非表示/違反報告)
Ｎａｎ'ｓ - コメント、有り難うございます！満足していただけるような話が書けたかわかりませんが、これからもこの作品をよろしくお願いします！夜桜瑠奈様も、お体にお気を付けてください！ (2017年12月20日 23時) (レス) id: 93e099ae7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっこ | 作成日時：2017年12月19日 19時
