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later date ページ9

それからの記憶は曖昧だ
電車が止まって、電話が鳴ってて、
警察や救急が駆けつけて
事情聴取をされたようなされてないような
直に俺の詐欺もバレるだろう
彼女は最後、また会いましょうと言った
こんなに傷つけてしまった俺に
恨み言を言う為?今度は自分が騙す為?
もしまた彼女に会えたなら、今度はなんと言葉をかけよう
「ごめんなさい」「もうしません」「許してください」
どれも俺が使っていい言葉じゃない
今の俺に相応しい言葉は何だろうか
彼女は今度あったら、なんと言葉をかけてくるだろうか
俺にまた彼女と会う資格があるのだろうか
いや、彼女がまたと言ったのだから、俺には会う責任がある。
彼女の言葉を全て受け止める責任がある。
そしてその後に、しっかり謝罪しよう。
形だけだと思われても、嘘だと思われても、ちゃんと謝ろう
そして願わくば、またゼロから始めよう

その為には、彼女に会いに行かなければならない
彼女は今どこにいるだろうか
そうか、天国にいるんだ
なら俺もそこまで行こう
果たして天国に行けるだろうか
いや、もし行けなくとも、行こうとしたという誠意を見せるのは重要だ
なら、どうやって行こうか
そうだ、同じようにしよう
そうすれば、同じ所に行けるかもしれない

身体を洗い、服を着て、裸足のままに駆け出す
玄関を出て、街を進み、いくつもの通りを抜けて、
今は立入禁止の規制線が張られた踏切を横目に走る
踏切を越え、5つ目の交差点を左に曲がり、建物に入る
入ってすぐのゲートを飛び越え、階段を下へ下へとひた走る
通路を真っすぐ進み、二つ目の階段を駆け上がる
「まもなくー、三番線にー、当駅止まりの列車が参ります。危ないですので、黄色い線の内側にお入りください。」
聞きなれたアナウンスを聞き流し、周りの雑踏をかき分け、最前列に立つ
タイミングは知っている。彼女が教えてくれたから。
一段下がった”そこ”を背にして”それ”を待つ

遠くからガタンゴトンと騒がしい音がする
止めてくれる人などいない
止められる云われもない
そう思いながら、後ろに倒れこむ
その最中、うるさかったはずのその空間で、彼女と声が重なった気がした
「『さようなら、また会いましょう』」

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作者名:ストーリーテラー | 作成日時:2022年4月3日 0時

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