lie makes woman - 岩田剛典 -

４. ページ5

、



剛「ワガママばっか言うなっつってんじゃん。お前が俺の仕事のことは我慢するっつったから付き合ってやったんだろ！」






付き合っている彼女と約束した

記念日の埋め合わせの日、

午前中だけどうしても外せない用が入った。



午後には戻るって言ってるのに、

彼女はなんでなんでと

餓鬼のように電話の向こうで泣いている。



だからワガママな女はヤなんだよ。






剛「そんなに気に入らねぇならもっと幸せにしてくれるやつと付き合えばいいだろ！？」


『っ、何でそんなこと言うのよ！！私はただ…っ


剛「とにかく、昼には戻るから。そしたらゆっくり話そう」


『剛典っ』


剛「じゃあまたあとで」






強引に通話を終え冷静になってふと辺りを見渡す。



何度も何度もかかってくる電話に

若干腹立たしく感じながら出ると、

案の定電話の向こうで彼女が泣いていた。



一方的に自分の感情を押し付けてくる彼女に

ますます腹が立って、

屋上に飛び出すなり声を荒げた。






A「声のボリュームに気をつけなよって言ったのに」






やっぱりいた。



あのオネーサン。






A「女の子にきつくない？がんちゃん」


剛「オネーサンこそ、こんなとこでタバコ蒸せて、暇なんだったら彼女と喧嘩して傷心な俺のこと慰めてよ」






黒のファーコートにチョーカー繋ぎの黒のニットに

黒のダメージスキニーパンツと

足元にはルブタンのショートブーツ。



オールブラックスタイルにプラスして

耳元に光るゴールドのピアスが

彼女の怪しげで妖艶な雰囲気を引き立てる。






A「事務所の喫煙室なんかでタバコなんか吸ってらんないわよ。てか、どこが傷心なの。悪びれな様子なんてこれっぽっちも見て取れないけど」


剛「心の中では傷ついてるの」


A「なら早く彼女と仲直りすることね」






冷たく言い放つその横に歩み寄って、

まっすぐ前を向いたままの顔を覗き込む。






A「なに？」


剛「いや、やっぱり美人だなぁって思って」


A「……、はいはい」


剛「ふは。笑」


A「女の涙、安くみちゃダメよ。いつか絶対痛い目見るんだから」






女の涙、ねぇ…。






剛「オネーサンこそ、ぼんやりしてると男に襲われちゃうよ？」


A「そうね。今にも襲われそう」

５.→←３.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す