lie makes woman - 岩田剛典 -

２２. ページ23

、



剛「もう、せっかく綺麗な顔が」






絆創膏は貼りたくないと、

消毒だけ済ませた彼女の口元に軽く触れる。






A「すっきりした」


剛「ははっ。だろうね。去り際のAさん、めっちゃいい顔してた。笑」


A「あのマヌケ顔！一生忘れないわ〜！」






心底楽しそうに、彼女は歯を見せた。






剛「ていうか、なんであんなことに？」


A「バッタリ会ってね、話したいってカフェに入ったのはいいけど、あの女ったら聞く耳持たず。挙句にこれだもの。我慢ならないわよ」






この間話してた、裏切り男と略奪女。



彼らの薬指にはお揃いの指輪があって、

女はずっと拳を握りしめていた。






A「よくも結婚式を台無しにしてくれたわね！！！って、はじめっから泣いてんのよ。私の顔見るなり泣いてたし、そんなに肝っ玉小さいなら仕掛けてくんなっつーの」






足を組み替えて、口から煙を吐き出す。






剛「ねぇ、タバコ、やめれば？」


A「………、どうして？」


剛「体、壊すよ」


A「………、そうね…。もうやめようかな」






携帯灰皿に吸い殻を入れて、

そう言いながらもバッグにしまう辺り、

やめる気はなさそうだな。






A「…、なに？」






俺が頭を撫でたことに、

彼女は不思議そうに俺を見る。






剛「Aさん、ほんとかっけぇね」


A「セット、崩れる」


剛「いいじゃん。笑」


A「ダメよ。この後予定あるんだから」






そう言って立ち上がって、歩き始める。






剛「デート？」


A「そ。啓司さんとね」






へぇ…。



うまく、いってんだ。

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