△3 初恋の音 ページ4
広間がしんと静まり返った。そりゃそうだ。
ふだん目立つタイプじゃないわたしが声をあげたことに、みんなビックリしてるみたいだった。善逸は信じられないような目をして、わたしを見上げていた。
いやん。やらかした。
顔に急速に血が集まるのを感じる。
今ならわたしのほっぺたで目玉焼きが焼けるぞ。
だけど恥をかいたかいがあったみたいで、
「……そーだよ。
なに善逸になすりつけてんだよ」
「犯人おまえだろ」
と、いう声が聞こえてきた。
みんなにてのひらを返された結果、太眉は女将さんに連れていかれた。
その背中を見送っていると、くん、と袖を引っぱられた。
「……っあ、あり、がと」
「なんで疑い晴れたのに泣いてるの?」
「だっ、て……うれしくてぇ」
善逸は鼻水をすすって、嗚咽をのみこんで、言葉をつむぐ。
「Aちゃんが、俺を、信じて、くれていて、俺の、ために、声を上げて、くれたのが」
「そんなの……当たり前じゃんよ」
わたしの選んだ友だちなんだから。
信じてるし、疑われたら庇う。
善逸がわたしに抱きついてくる。
絶対に本人に言えないと思うけど、やっぱり善逸って泣いてる顔が一番かわいい。
「うふ、うへへへ」
「どした善逸」
「なんでもない」
ほっぺたの産毛が触れあう距離の横顔。
わたしの方にゆっくりと向いた、わたしを焦がすみたいな瞳は、「なんでもなく」はないんだけど。
1121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なーこ - ほんっとにこのお話大好きです!!定期的に読みたくなってまた読みに来ました!!!!最高です!!どの作品よりも好きです!こんな素晴らしい作品を作って下さりありがとうございます!!! (2022年12月12日 20時) (レス) @page47 id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
めがね - この作品何回読んでも何回もときめくから不思議だと思います。好きです (2022年10月18日 1時) (レス) @page47 id: cb7157b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
クロイルカ - あっ、_:(´ཀ`」 ∠):グハッ (2022年8月25日 17時) (レス) @page47 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ(*´∀`*) - 元々、鬼滅の刃の作品はあまり、見ないけど、私が見てきたなかで、1番好きです!他の作品なども、頑張って下さい! (2021年4月10日 15時) (レス) id: fb067314f3 (このIDを非表示/違反報告)
Links - はーーーい!499を500にした(いちおー)女の子のLinksちゃんだお☆........すいませんふざけました。とってもいい話ですね!僕は感動しました。それで感動しまくって発狂してたら親に煩いと怒られました(笑)他の作品も楽しみにしています! (2020年5月7日 0時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:間宮 | 作成日時:2020年2月16日 19時