△13 嫉妬かそうなのか ページ14
「A、今日もうまかったぞ」
今朝もじいちゃんは、そう言って横をすり抜けていく。えへへ。うれしい。ありがと、じいちゃん。
「イヤア゛ーーーッ!!!」
って悲鳴をあげる善逸を引きずっていった。
ふたりのお茶碗を片づけていると、居間に残った獪岳と目があった。
「どう?おいしい?おいしい?おいしいと言え」
「あーうっせえブス」
「もう獪岳の分作ってあげない」
「好きにしろ。アイツの好きな脂っこい物ばっか出しやがって」
とか何とか言いながら、完食するくせに。
こんな感じで、新しい生活にも慣れてきた。
だけど、そうだね。
ひとつだけ悩みがあるとしたら。
「……たのめないよなぁ」
紅の容れものは、もう底が見えていた。
着物の襟はとっくにヨレヨレだった。
そう、わたしはお小遣いがほしかった。
じいちゃんは赤の他人のわたしのために、衣食住を確保してくれている。それがどれだけありがたいことか。だからオシャレしたいなんて、とてもじゃないけど言えない。贅沢だ。ワガママだ。じいちゃんに、これ以上、迷惑をかけたくない。望んじゃいけない。身の程をわきまえなきゃ。笑ってくれよA。笑わない女は綺麗じゃないらしいから。
「Aちゃーん!!!」
開けはなたれた縁側のさき、広い庭で、ぶんぶんと手をふっている人影が見える。
「修行に専念せい」
って右からじいちゃんにどつかれ、
「うるせえ」
って左から獪岳に蹴られている。
わたしは思わず口元がゆるむのを感じながら、タンスを閉めて、春の風をすいこんだ。
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なーこ - ほんっとにこのお話大好きです!!定期的に読みたくなってまた読みに来ました!!!!最高です!!どの作品よりも好きです!こんな素晴らしい作品を作って下さりありがとうございます!!! (2022年12月12日 20時) (レス) @page47 id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
めがね - この作品何回読んでも何回もときめくから不思議だと思います。好きです (2022年10月18日 1時) (レス) @page47 id: cb7157b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
クロイルカ - あっ、_:(´ཀ`」 ∠):グハッ (2022年8月25日 17時) (レス) @page47 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ(*´∀`*) - 元々、鬼滅の刃の作品はあまり、見ないけど、私が見てきたなかで、1番好きです!他の作品なども、頑張って下さい! (2021年4月10日 15時) (レス) id: fb067314f3 (このIDを非表示/違反報告)
Links - はーーーい!499を500にした(いちおー)女の子のLinksちゃんだお☆........すいませんふざけました。とってもいい話ですね!僕は感動しました。それで感動しまくって発狂してたら親に煩いと怒られました(笑)他の作品も楽しみにしています! (2020年5月7日 0時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:間宮 | 作成日時:2020年2月16日 19時