△11 重い愛いかがですか ページ12
「寒っ!!嘘すぎじゃない!?俺たち凍傷するでしょコレ!!」
今にも雪がふりだしそうな夕方、善逸と薪をかかえて家の裏に回った。
「ふたりとも、湯加減たのんだぞ」って、格子の窓からじいちゃんの声がする。
竹を吹いてると、湯気と、じいちゃんのここちよさそうな声が漏れてきた。
「……さむい、ね」
「うん、さむい」
わたしと善逸の手は、どちらともなく近づく。
指が絡んで、視線もむすばる。
夕陽をしのぐくらい、そんなに熱烈に見つめられたら、死んでしまいそうになるよ。
「善逸が元気そうでよかったぁ。
あ、借金返せた?」
「うん。全部、じいちゃんが」
「その代わりに剣士にされたのね?」
「そーゆーこと」
顔を見合わせて、くすくす笑う。あ、まただ。
わたし嫌なこと忘れられている。ひとりのときは、おじさんとおばさんの亡骸ばかり思い出しちゃうのに。
「ありがと、ね」
「うん?」
「善逸がいなかったら、きっと、ここに拾われても泣いてうずくまってた」
「それなら俺だって、Aちゃんに助けられてばっかりだよ。
奉公先が変わって、声を圧し殺して泣いた夜も、眠れない朝も、修行でぼろぼろになったときも、ずっとAちゃんに救われてた。
Aちゃんが俺にくれたもの全部を支えにして、ここまで生きてきた」
「……重い?」って善逸が聞いてくる。
確かに重い。ちょっと受け止められないくらい重い。だけど嫌な重さじゃない。
「いちゃついてないで火加減せい!!!
熱いわーッ!!!」
と、じいちゃんの怒声が飛んだ。
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なーこ - ほんっとにこのお話大好きです!!定期的に読みたくなってまた読みに来ました!!!!最高です!!どの作品よりも好きです!こんな素晴らしい作品を作って下さりありがとうございます!!! (2022年12月12日 20時) (レス) @page47 id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
めがね - この作品何回読んでも何回もときめくから不思議だと思います。好きです (2022年10月18日 1時) (レス) @page47 id: cb7157b0f2 (このIDを非表示/違反報告)
クロイルカ - あっ、_:(´ཀ`」 ∠):グハッ (2022年8月25日 17時) (レス) @page47 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
カノカノ(*´∀`*) - 元々、鬼滅の刃の作品はあまり、見ないけど、私が見てきたなかで、1番好きです!他の作品なども、頑張って下さい! (2021年4月10日 15時) (レス) id: fb067314f3 (このIDを非表示/違反報告)
Links - はーーーい!499を500にした(いちおー)女の子のLinksちゃんだお☆........すいませんふざけました。とってもいい話ですね!僕は感動しました。それで感動しまくって発狂してたら親に煩いと怒られました(笑)他の作品も楽しみにしています! (2020年5月7日 0時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:間宮 | 作成日時:2020年2月16日 19時