善逸とガチ恋したいヤツちょっと来い【鬼滅の刃】

△1 かわいこちゃん ページ2

「A、Aちゃん」




布団のうえ、わたしに覆い被さる肩ごしに、天井を見つめる。夢中で揺さぶられるけど、話に聞いていた感覚は起こらない。


正直ちっとも気持ちよくなんかない。
違和感だけ。向いてないんだと思う。


だけど、とろけそうな顔をした善逸に見おろされていると、わたしの身体にも快感が沸いてくるような気がしたの。




△▽




ついたのは大きな日本家屋だった。


旦那さんに挨拶に行くと、さっそくお昼ご飯の準備をするよう命じられた。



「広間はこっちだぜ」



先輩に案内され、お盆を持っていく途中で、顔をぬぐう男の子とすれ違う。




雑に切りそろえられた黒髪。
ビー玉みたいな涙と、鼻水でぐしゃぐしゃの、かわいい顔。

あとで先輩から名前を聞いた、善逸のことが、ひとめぼれみたいに頭を離れなかった。





だからわたしは、呉服屋から帰る子の列の後ろで、２つも荷物を持たされてフラフラしてる善逸に話しかけてみた。
めんこい顔してるね。




「なんで２つも持ってんの？」



「あの子が……具合悪いって言ってたから」



「わたしたちの目の前で鬼ごっこしてる子？」



「……うん」



何それ。クソじゃん。見てらんないよ。
「持つよ」って荷物を奪いとる。


持ったはいいけど、めっちゃ重い。耐えろ。
返すなんてダサすぎる。



「い、いいよ返して！重いでしょ？」


「よゆーよゆー」




「……ウソつき」
って、かわいい耳たぶが赤らんだ。

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