【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ9)

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第六話ページ9

雪奈side

千耶｢ところで、涼森家の頭領といえば史上最年少で家督を継いだと耳にした事がある。それがお前か｣
雪奈｢はい。私が七つの時に先代が亡くなり、跡を継ぐことになりました。まだ若輩者ですから、頭領としてのお役目を果たすことができているか不安ではありますが・・・今は爺様方に助けられながら、修行を続けている最中です｣

千耶さんは無言のまま私の顔を見つめていたけど、やがて・・・

千耶｢もはや、年齢や実績のみが問われる時代ではないな。今、日ノ本で一番立場があるのは、まだ数えで八つの子供なのだからな｣
雪奈｢日ノ本で一番立場がある子供・・・？｣

その言葉が妙に気にかかったから、尋ねてみたいけど・・・

千歳｢とりあえず、八瀬姫のところまで案内してくれねえか？｣
雪奈｢申し訳ありません、千歳さん。今すぐに｣
千歳｢【さん】とかやめろよ。お前と俺は同じ十鬼衆だろうが｣
雪奈｢ですが、先程の結果のとおり、私はまだ頭領として未熟です。そんな私があなたを呼び捨てにするのは・・・｣
千歳｢俺が【呼び捨てにしてくれ】って言ってんだからいいんだよ【さん】付けで呼ばれるなんて滅多にねえから背中が痒くなってきちまう｣
千耶｢俺も呼び捨てで構わん。敬称をつけて呼ばれるほど大層な鬼でもないからな｣
雪奈｢・・・分かりました｣

先程会ったばかりの相手に呼び捨てにするのは抵抗があるけど・・・
本人たちが望んでいる呼び方で呼ぶのが一番だろう
それによく考えればまだ絢華を見つけていないけれど、銀狼が見張っているし案内したらすぐに探しに行こう

雪奈｢では、参りましょう。千歳、千耶。八瀬姫がお待ちです｣

私は彼らと共に、八瀬姫がおわす場所、八角堂へと向かうことにした
そして去り際、人里へと続く鳥居の方角を振り返ってみた
結界の向こうから感じ取れるざわめきは、まるで嵐の前の水面さながらに不穏さを増しているように感じ取れた