【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ35)

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第三十二話ページ35

雪奈side

千歳｢秦、世間知らずの女鬼をあんまりからかうんじゃねえって。そいつ、本気で信じ込んでるみたいじゃねえか！｣
雪奈｢・・・・｣

千歳の言葉の意味が分からず、一瞬あっけに取られてしまう

雪奈｢か、からかう・・・・？私は、からかわれていたのですが？何故・・・｣

すると千岳さんは呆れたように私に教えてくれた

千岳｢・・・秦は、こういう奴なんだよ。こいつの言葉は九割九分九厘、冗談だと思った方がいい｣
雪奈｢そんな・・・｣

いくら何でも、そんな不実な方が十鬼衆として名を連ねるなどあり得ないと思うのだけど
でも、千岳さんも十鬼衆の一員だし、となるとどちらかが嘘を言ってるという事に・・・
・・・いや、今気にするべきことは、そのことではない

雪奈｢今後、大きな争いが起きるという部分については、冗談ではないのですよね？どういった争いが起こるのです？｣

私がそう尋ねた途端

月島爺｢お嬢が知る必要はない事だ｣

ぴしりと言い放たれ、私は二の句を継げなくなってしまう
確かに、私の役目はこの八瀬の里で姫をお守りすることだし、人の世の争いの事など知る必要はないのだけど・・・

秦｢話を聞かせるぐらい、構わないのでは？彼女はただの女子ではない、涼森家の頭領という身の上なのですし。それに、もし八瀬姫から告げられるお言葉が我々の予想通りだとすると、後でこの話を聞くことになるんでしょう｣

月爺は眉間にしわを寄せて黙り込んでしまう
琴爺は、ニコニコしながら汐爺を見やった

琴浦爺｢聞かせても構わんのではないかの？人の世のよしなしごとを聞いたからといって判断を誤る事はないじゃろう｣
汐見爺｢・・・そうじゃな。話を聞かせるぐらいなら、構わんか｣

汐爺はそう言ったあと、秦さんへと目くばせする

秦｢・・・成程。面倒な説明は私の役目、という事ですか。わかりました、お教えしますよ。・・・とはいえ、私もそこまで人の世の事情に通じているわけではありませんから、そのつもりで聞いてください｣

秦さんの言葉に頷き返すと、彼は説明を始めた