【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ34)

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第三十一話ページ34

雪奈side

汐見爺｢しかし、四国の鬼はどうしたのじゃろうな。まさかとは思うが・・・人間の厄介事に巻き込まれたのかの｣

汐爺は心配そうに呟く

千耶｢・・・巻き込まれるも何も、今、人間の世では戦も起こっておらぬはずだが｣
秦｢そうですね、【今のところは】。これから起こる可能性は、大いにありますけど｣
雪奈｢これから・・・？｣

秦さんが発した言葉で、場の空気が一気に張りつめる

雪奈｢あの・・・今後、何か大きな争いが起こるというのですか？｣

恐る恐る、秦さんに尋ねると

秦｢ええ、起こりますよ。かつてない大きな騒乱がね｣
雪奈｢それは本当ですか？一体どういった争いなのです？｣

すると秦さんは瞬きもせずに、私へと顔を近づけてくる
怖いくらい真剣な表情で、おもむろに告げられた言葉はーー

秦｢雪奈、あなたをめぐっての恋のさやあてです｣
雪奈｢・・・・｣

秦さんの言葉を理解するまでには、しばしの時間が必要だった

雪奈(恋の・・・さやあて？人間がそんな事で争うなんて到底考えられないけど・・・)

一族の名誉を背負ってここに来ている秦さんが、こういう席で冗談を言うなんて考えられない
でも、今の発言はどう考えても、真面目な答えとは思えないし・・・

雪奈｢あの・・・私は人間の話について聞いていたのですが、もしや鬼の話なのでしょうか？｣

恐る恐る尋ねるが、秦さんは真顔のままだった

秦｢戦に人も鬼もありません。人の始めた戦のように、私達も戦に巻き込まれてしまうかもしれないのです｣
雪奈｢そ、そうですか。では、私達が巻き込まれる戦とは、一体どのような？｣
秦｢・・・・ここにいる全員が、その戦に巻き込まれてしまうでしょう。いえ、自ら戦いに赴くかもしれません｣

自ら戦いに？！

雪奈｢どうして、皆さんが戦わなければならないのですか！｣
秦｢我々の中で誰が一番あなたにふさわしいか、これから戦って決着をつけようと思っているからですよ｣

なっ・・・！

雪奈｢それはいけません！私達は、事あるごとに相争う人間達とは違うのですから。そもそも、私の事で争う必要などどこにもありませんし、そのような乱暴な事はーー｣

すると、それまで私達のやり取りを聞いていた千歳が・・・

千歳｢あははははははっーー！駄目だ！もう我慢できねえ！｣

急に笑い出したのだった