【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ32)

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第二十九話ページ32

Aside

八瀬姫様の部屋を後にし、私は仕事のため自分の家に戻ろうと通路を歩いていた
すると、さっき姫様と会話したことを思い出す
能力を使うことを断った後の話だ

※

A『本当に申し訳ありません・・・』

私は何度も姫様に謝る
だが、姫様は怒らず微笑する

千羽『いいえ。本当は私のほうが謝るべきだわ。何度も呼び出して無理にあなたの能力を使おうとするのだから・・・ごめんなさい』
A『姫様・・・』

そんな顔されたら何て言ったらいいか分からなくなる・・・・

千羽『実はね・・・十鬼衆全員をここに呼んだのは他でもないの』
A『・・・どういうことですか？』

姫様は私に、十鬼衆全員をここに呼んだ理由を教えてくれた

A『なるほど、姫様がそう仰るなら可能性はないとは言いませんね』

彼女の言葉を聞いた私は、眉間にしわを寄せた
姫様も険しい顔で頷いた

千羽『ええ。だから、一刻も早く鬼と人間の関係を絶たせなければ、今回見た夢は本当に起きてしまうの』
A『でも、一体誰が・・・？』

私は手に顎を着かせ、考え込んだ
すると姫様は私の手をとり、優しく握った

A『姫様？』
千羽『A、お願い。もし、私に何かあったら雪奈のこと支えてくれるかしら？』
A『え？』

どういうことだ？
姫様の言葉に何かが引っかかった

A『い、一体何をおっしゃっているのですか？』

そう尋ねようとしても

千羽『お願い。あなたしかあの子を理解してくれる人がいないの』
A『・・・姫様』

今の私は、ただ頷くことしかできなかった

※

A(あの時の姫様・・・何だか必死だったな)

あんな必死にお願いされたのは初めてだった
まるで、この後自分の身に何かが起きることを分かってるような感じだった

A(何だろ・・・嫌な予感がする・・・)

姫様の言葉に胸騒ぎがした
何も起こらなければいいなとそう願いたかった