【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ31)

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第二十八話ページ31

雪奈side

千羽｢いえ、話しならもう終わったから平気よ。手伝いに行ってあげて、雪奈｣
雪奈｢ですけど・・・｣

私は言葉を紡ごうとした時

千羽｢・・・詳しい話なら、また夜にしましょう。ね？｣

姫にこう言われては、これ以上ここに居続ける事もできずーー

雪奈｢わかりました。それではまた後ほど｣

私は姫の部屋の戸を開けると絢華が私を待っていたかのように立っていた

A｢すみません。本来なら私がやらなくてはいけないのに、急に仕事が入っちゃって・・・｣
雪奈｢大丈夫。あなたは気にせず仕事に専念しなさい｣

私がそう言うと、絢華は微笑んで頷いた

千羽｢絢華、ちょっといいかしら？｣

すると、姫は絢華に声をかける
もしかしたらあの絵のことだろう

A｢あ、はい。では姉さん、また夕餉の時に｣
雪奈｢ええ｣

私は姫と絢華を後にして、勝手場へと向かったのだった

※

Aside

姉さんが勝手場へ向かったのを見届け、私は姫様に呼ばれて彼女の部屋の中へ足を踏み入れた

A｢それで、ご用件は何でしょうか？｣

姫様の前へ腰を下ろす

千羽｢あ、この絵のことなのだけど・・・｣

すると、姫様は傍らに置いてある紙を私に見せた
それは、先程姉さんに渡した私が描いた姫様への絵だった

千羽｢この間お願いしたこと、覚えててくれたのね｣
A｢ええ、当然です。何たって姫様にお願いされたのですから｣

私が微笑むと、姫様も微笑み返した

千羽｢ありがとね、絢華｣

姫様は私に礼を言った

A｢いえ。それより姫様、二人きりの時は【絢華】じゃなくてAと呼んでも大丈夫ですよ｣
千羽｢あら、そうだったわね。そう約束したの忘れていたわ、A｣

彼女は眉を下げて微笑んだ
私が本名で呼ばれるときは、姫様や姉さんと二人きりの時だけだ。しかし、よく二人とも源氏名の方で呼んでしまうらしい

A｢まあ、それは置いといて。私を呼んだのは絵のことじゃなくて十鬼衆全員をここに召集したことですよね？｣

私がそう尋ねると、姫様は顔を引き締めた
やっぱりそうだった

千羽｢わかっているなら話が早いわ。A、お願いがあるの｣
A｢そのお願い、姫様でもお断りします｣

私は頼み事の内容を察知し、すぐに断った

千羽｢・・・そうよね、いくら私が頼んでも駄目よね｣

姫様は目を伏せる

A｢すみません・・・。できればその頼みに答えたいのですが・・・もう決めたので｣

もうあの能力は使いたくないから・・・