【十鬼の絆】～旋律唄～ (ページ4)

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第一話ページ4

雪奈side

雪奈｢絢華ー！どこにいるのー？｣

身を切るような一月の寒空の下、私、涼森雪奈は里に続く林道を歩きながら八瀬の里に暮らす絵師・絢華を探していた
汐爺から文で呼ばれているのに一向に八角堂に姿を現さない彼女を爺様方から探して欲しいと頼まれ今の状況になってるのだ

雪奈｢全く・・・どこまで行ったのかしら？｣

私は一度足を止め、ため息を漏らした
絢華は絵を描くためによく出かけており空けていることが多い

雪奈｢銀狼が帰ってこないということは結構遠くまで行っているということか・・・｣

彼女の行きそうなところは悔しいが見当がつかない
それにいつも飄々としていて何を考えているのか分からないぐらいだ

と、その時
上空から大きな鳥の羽音が聞こえてきた
そして両翼をはためかせながら、一羽の鷹が舞い降りてくる

雪奈｢銀狼！｣

この白い翼を持つ鷹の名は、銀狼
子供の頃から共に過ごしてきた盟友のような存在だ
私は銀狼を左拳に据えながら尋ねる

雪奈｢絢華は見つかった？｣

すると銀狼は肯定するように鳴き声を上げる

雪奈｢え？【里の近くの水源にいる】って？・・・・またあそこへ行ったのね｣

私と銀狼は絢華の行動に呆れていた
絢華はいつも里の近くの水源に行くと夕刻になるまで里に戻ってこないのだ
その瞬間、銀狼はまた鳴き声を上げる
今度は警告するような鳴き声だった
その鳴き声を聞いて私も不審な気配を察知した

雪奈｢【気をつけろ】って？・・・・ええ、分かってる。銀狼、絢華がどこにも行かないように見張っといてくれる？｣

銀狼はひと鳴きすると足場になっていた私の拳を蹴り、再び上空へと舞い戻っていく
里では近々来客があると言われていた

雪奈(もしかしたら、その相手なのかもしれないけど・・・)

とりあえず一旦絢香のことは置いといて万が一のことを考えて、警戒を怠るべきではない
私は先程辿った道を引き返した